2011
03.17
03.17
終戦間もない写真であります。
母は向かって右。
このたび震災で、避難している叔母が左端であります。
まさか晩年になって、津波ですべてを失うとは予想もしていなかったに違いありません。
いや、叔母は無事であります。
さいしょに語りたいのは、叔母の息子のお嫁さん。
このお嫁さんがたいそう美人でして、なぜか私をみると逃げて、直接口をきたのは二回ほどしかございません。
釜石で津波に呑まれたのですが、去年まではモリオカにいたのでございます。
娘が二人いまして、これがまたじつに可愛いのであります。
叔母の息子…つまり私の従弟は、この娘たちをネコ可愛がりにしておりまして、朝、仕事に行く時などは、まるで今生の別れをするように、チュッチュッとやっていたのであります。
運命学では、可愛い女の子は、可愛いがられなければ生きていけない運命を持つとされています。
つまり、親はアテにできず、男たちに大切にされるような、あるいは男たちをたぶらかすような運命を持つとされているのであります。
が、従弟は医者。叔母の夫も医者。釜石でなくても上流階級の暮らしをしているのでありました。
金持ちの娘というものはプスが多いのは、べつに男たちに大切にされなくても幸せにやっていけるからであります。
が、従弟の娘たちの尋常でない可愛さはどうしたことか。
従弟はおそらく立ち直れますまい。叔父ももう85才。裸一貫で病院経営を成功させましたが、それを失ってはもはや再起の望みもありますまい。
叔母だとて長い命ではないのであります。
であれば、二人の娘たちの運命は…
美人に生まれついた娘の将来を、私は職業柄、残酷に見ているのであります。