2011
03.29

 よーし。
と決心いたしまして、チーズケーキをば作ったのであります。

が、失敗。
下地が脆くもくずれ、この状態で皿に乗せただけでも奇跡なのでありました。

味はイイのであります。
というか、ケーキをつくって味で失敗することなど、よほどのことでもない限り考えられないのであります。
どのように見栄えを美しく完成させるか、ドルチェはここにすべてが込められているといって過言ではございますまい。

とするとケーキは女なのでありましょうか。

ヤバイ発言だったかもしれませんでしたね。
どの女もなべて味に大差はなく要は外見の美しさなのかもしれないなどとケーキを作る前までは気づかなかったことでありました。
男だってそうじゃないの。いっしょ。大小を気にしているのは男ばかりで、そんなことよりも…。という声が聞こえてきそうなのであります。

「いやいや、味にも差があるよ」
と私の内部の別の人格が語ります。
「素材にはそりゃ差があるから味も違うだろうけど、その味の種類を言おうとしているのではないんだよ」
味を作るのは男の仕事かもしれませんです。

砂糖とレモンとミルクとチーズとで官能的な味覚にするのは男のつとめ。
見かけを美しくするのも男の喜び。

そうすると、せいいっぱい強がっていた女がやわらかく溶けだすときをむかえるのであります。
「おいしいっ。笑えてくるほどおいしいっ」

…というドルチェをこれから目指したいのであります。