11.10
恥ずかしながら、夕べは、このようなニューミュージックのコンサートにまいりました。
茅ヶ崎文化会館で、ある、ということを少し前に知っておりまして、チケットを用意していたのでございます。
尾崎亜美が歌う「オリビアを聴きながら」を聴きたくなったのでした。
いまなお、お女性がカラオケで人気の「~あなた、わたしの幻を愛したの~」ってヤツです。
評価は敢えて言いませんですが、会場の前三分の一の老人たちは総立ちで、ノリまくっておりました。なかには踊り出すお女性もいて、若いと思って振り返るのを待っていたら、40台のめんこいお方でございました。
恋はマボロシを愛することなんだろうと、つねづね思っていまして、マボロシをマボロシだと気づいたときが恋の終焉でございましょう。
相手の「本当」を見たとき、それでもそれがマボロシの続きであれば、恋は愛というものに名を変えて結ばれるものかもしれませんです。
「見損なったわ」
「期待ハズレ…」
なんて、そんなことを直接言葉にはいたしませんけれど、私を見るその目が、夢から覚めたような白々した色を刷くことを、私メは幾度か経験しておりますです。
それは、射精したあとの男の表情…といえば、お女性は理解してもらえるかもしれませんですね。
恋はふたりでみる夢。
夜の夢は゛どんなに愛し合っていても別々でありますから、せめて起きてみる夢だけはいっしょに見させてくれるように神様のようなものが配慮してくれたのかもしれませんです。
そんなことを考えつつ、バカにノリのいい湘南の老人たちの大騒ぎのなかに身を置いていたのでございます。
帰りは、そんな老人たちが団体をなして駅までの道路をふさぎ、高校生の男女が、世紀末の化け物にであったように、圧倒され、追い越しも出来ずに、われわれの後ろをついてくるのでございました。
「あなた私のマボロシを愛したの~」
なんて、自己愛な歌詞でありましょう。
そういう自分を肯定することも、たまにはよろしいようでありますです。