2011
11.30

エロ本を置かなり珍しい古本屋がありまして、たまにのぞくのでありますが、先日、啄木日記なるものを発見しました。

啄木日記はローマ字で記されているので、はなはだ読みにくいのであります。
それでもしばらく読み進むうちに、目もなれるのでございました。

なんという私生活でありましょう。
売春宿でのお遊びが、ツマビラかに書かれているのでありました。

安心するのであります。

私メはまだまだビギナーであると胸をなでおろすのでございました。

よく恋人や配偶者の携帯メールを盗み見て、別の相手と付き合っていることを発見して怒りまくる人が存在いたしますが、私メはそういう趣味はございませんです。ございませんですが、啄木日記を目にして、
「なるほど」
とうなづけるものがございました。
「他人の私生活をのぞくのは楽しいものである」と。

すこし要所を拡大しましたが、読めますでしょうか。

男とはこういうものだと、すこし理解してくださるかもしれませんですよ。

秋の夜長は読書に最適とか。
けれどこういうエロの暗号みたいな本を読みますと、目が疲れて真っ赤に充血してしまいますです。

啄木の妻は、彼の死後、「焼いてくれ」という遺言に逆らって、この日記を公開したのでありますが、それは愛なのか、はたまた恨みなのか、お女性の心理をおしはかることも、面白ろうございますです。

ルーペをもちいて必死に読みふける私メを、心配そうにロメオが見上げているのでありました。

これは読書なのか、盗み読みなのか分からなくなり、いや、これこそが、いままで気づかなかった読書の基本姿勢なのだろうと思いいたるのでございました。

本は、人間の精神の成長に役立つなどという教員が言いそうな言葉が、可笑しく感じられたりもするのでした。

いつの時代も、こんなものだよなぁ、と安心感はさらにひろがったりもいたします。

こずかたのお城の草に寝ころびて 空に吸わはれし十五のこころ