2012
03.17

想い出の写真の一枚でありますです。

ムッシュー・オノは右から2番目。
テレビで、占い師を招き、ヘンな当てモノをさせていたのでありました。

正式ではありませんが、銀座ジプシー事務所が、占いプロダクションになり、テレビの出演要請を受けており、私メもそのなかの一人ということになっていたのでありますです。

どのようなパフォーマンスを、どの占い師にさせたら面白かろうかと、アイディアなどをひねっていた頃でありました。

私メのイデタチは、「眠れる森の美女」の魔女からイメージしたものであります。
銀座ジプシーのマントの寸法にしたのでありましたが、出演前夜に、「私は同じでは困ーる」と電話がきまして、慌てて一部を変えた記憶がございますです。

が、突然に、その事務所から放り出され、途方にくれたのでありました。
毎土、日曜日に厚木パルコで占い鑑定をしていた仕事もすべて奪われまして、月々10万円ほどの収入がパー。

「どーするべか」
絶望にくれたのでありますです。
「このままでは引き下がれぬ。絶対に引きさがれぬぞ!」
と、悔しさと不安に負けまいと、拳を高く差し上げても、どこでどうしたらいいのか皆目、あてもなく、完全に未来を失ったのでございました。

御覧くださいまし。
この不気味な目つきを。

「アメリカに行くしかない!」
と腹を決めた時の1枚でございますです。
「ニューヨークのど真ん中で、『腹切り占い』をするのだ!」と。

ハラキリ占いとは、一文字占いのことであります。
「一」を書かせて、その文字のかすれ具合やクセによって占うものでして、私メは、自分の腹に半紙を巻き付け、朱墨をもって気合いとともにいっきに腹に一文字を書くというアイディア。
赤い朱墨が血となり、外人にすれば、
「オオッ、ハラキリですね」
と強烈なインパクトになると見たのでありますです。

摩天楼のど真ん中で、運命の逆転勝利の、起死回生の大ダイホームランを狙うしか、もはや策は尽きていたのでありました。
勉強の英語はダメですが、京都で外人相手に清水焼の叩き売りをした経験がありましたから、何とかなるだろうと考えていたのでございます。

が、運命はそれを許さなかったようであります。

その頃、事務所をクビになる半年ほど前から「ムッシュー通信」なるものを、月一で出しておりまして、むろんワープロ作りで、発行部数は100未満。
それを知り合いになった人に片っ端から送っていたのであります。
「そんなことをして得になるの?」
などと同業者から冷笑されておりましたが、それが役に立ったのですから運命はどう転がるかわかりませぬ。

あるフリーのライターさんが「面白いからKKベストセラーの編集の人に見せたのよ。今度の飲み会に連れていくからね」ということになり、そこから出版社との、溺れる者ワラをも掴まん、というつながりが芽生えたのでありました。