2012
05.14

実家のちかくの湖畔をさまよい歩きますと、ああ、郷里を実感いたしますです。

水は重たく波紋をたわませながら迎えてくれるようでありました。
時間を何年も飛び越えて、私メを少年時代に戻してくれる、こころよい錯覚にひたることができるのであります。

グリークの曲に日本歌詞をつけた「みずうみ」というメロディーが風のように脳裏をかすめたりいたしますです。

♪~少年は鳥になれずにおとなになって~♪

その歌は、へんに官能の琴線を刺激いたします。

おとな、という言葉が性を連想させるのでしょうか。
過ぎ去った思春期の過敏なハートの、とっくの昔に失っているはずの、純真さに似たものが目をさまし、ヒリつく性欲とむすびつくのか、それは新緑の若葉の匂いが原因しているのか、とにかく股間をこわばらせることは事実なのであります。

桟橋にはアヒルがうずくまってうたた寝しているのでありました。

こんなにも岩手山がカッキリと見える日も珍しく、ついシャッターを切ったりしてしまうのでした。

やはり気持ちの良い日なのか、湖畔の小径ですれちがったオバハンは♪~と、北上夜曲をソプラノで歌っておりました。

この湖にたちよると、自分が知らないうちに疲れていたことに気づかせてくれるのでございます。
ふるさとはありがたきかな、でありましょうか。

官能のたかまりは、その心にうるおいが戻ることをしめすメーターかもしれませぬ。
たっぷりと手を濡らしてみたい気持ちなのであります。