2012
06.03

アワビであります。

昼に、それは不味い不味いつけ麺を食って、いささか調子を崩しておりましたところ、宅急便の使者が、このようなお届けモノをもって参ったのでございます。

「うわっ!」
開けてビックリでありました。

具合がどーのといっている時ではございませぬ。

生きの良いうちに食わねば天罰が当たるというモノ。

じつは、去年の震災でショックだったのは、アワビが食えなくなったことだったのであります。

三陸海岸の久慈と宮古の中間あたりに、漁師しか知らないアワビの浜があったのであります。
崖っぷちの小径を降りて浜に出ますと、隣の浜までつながる20メートルほどの洞窟がございました。
その洞窟の向こうに、漁師小屋がありまして、ちいさな浜には、早朝になると荒波でアワビが打ち上げられるのであります。

30個ほどはカンタンに捕れ、それを素手ではがして喰らうのであります。
身の部分は、五個も食うと甘すぎて飽きてしまいます。
肝だけをむさぼったものでした。

が、震災で、その浜はダメになったとか。

こうやって肝……岩手県では肝を屠汁と呼ぶのでありますが、その屠汁をからめて口に入れますと、何ともいえぬ磯の香りが口内に広がるのでございます。

ムズムズ……。

いまになって効き目が出てきたようであります。
これは仕事が進む…いや進まない…。

そのようなことはどうでもいいのであります。

久しぶりに大富豪になった気分なのでありました。

ちなみに、いまでは効き目が弱くなりましたが、若い頃は、貝類とか、マグロのトロを食した二時間後に、やはりムズムズと効力が出たモノでありますです。はい。