2013
01.27

北国は雪がつもっているでありましょうが、湘南の夕暮れは、明るさがどことなく春めいて感じられるのであります。
それは、朝だとおもって目が覚めたら、まだ深夜だったような錯覚かもしれませぬが。

タマゴがなくなっていて、それでスーパーに行った帰り道なのであります。
空が仄かに青くて、きっと妄想に違いないのでしょうが、嬉しい出来事がありそうな予感をはらんでいるのでありました。

親子丼がむしょうに食いたくなっていたのであります。
昼にいろいろな食堂を見て回りましたが、気が狂ったようなこの気持ちとつりあう親子丼をやっているところはありませんでした。

ならば、自分で作るしかございませぬ。

汁ダクで、紅生姜のたっぷりとのった親子丼。三つ葉もなくてはなりませぬ。
「おなかが空いたときにスパゲティをだされたら、スパゲティで我慢するものよ」
とは忘れましたが、有名な映画で女優の名言でございます。
たしか「旅情」のキャサリン・ヘップバーンでしたかな…。
女に飢えているなら、とりあえず私で我慢しなさいという意味なのでありましょうか。

しかし、私メが飢えているのは親子丼。
いわば相手は決まっているのであります。

相手は決まっているのでありますから、どうヤルかの問題なのでありましょうか。

「娘には手を出さないで」
という問題でもございませぬ。

「おじさまはママと恋愛してたんでしょう」
ということでもございませんです。

純粋に親子丼を求めているだけなのでありました。

とにかく自分でこしらえて満足いたしました。
南蛮をぶっかけてゾリゾリと胃袋に叩きこんだのでありました。

メデタシであります。

春の夜の嬉しい出来事の予感の余韻にひたりつつ。

2013
01.26

心理テストの問題などで、画像のような絵が出てきて、
「若い女性か、それとも老婆か?」
と、どっちに見えるかによって、心のあり方を暴こうとしたりしたものであります。

老婆より少女がイイに決まっているというと、
アラフォーのお女性からは「あなたもなの…」と思いのほかの攻撃を受けたりいたしますです。

自分は年齢とは関係なく生きていると思いたいのでありましょうが、
そういうことは自分の内部の問題でありまして、
外見はやはり年相応に老いていくものでございますです。

それは致し方のない事実であります。
私メが30代の時、18歳当たりの女の子からジジイ扱いをされてきましたが、彼女たちだって、いまや40才も半ばでありましょう。

老いても「お姐さん」と呼ばれるのは、芸者さんくらいでありましょう。
芸者さんは、お女性を超越した芸人ということで、素顔は見せず、実年齢は無縁。芸者はいくつになっても年をとらないモノという暗黙のキマリがございますです。
芸者さんに「おかぁさん」とか「おばさん」と読んではいけないのは、花柳界のさういうシキタリからきているわけであります。

が、普通のお女性は一定の年齢がくれば「おばさん」「おばさま」などと呼ばれて当たり前であります。

そして恋とは無縁という存在になるのでありますです。
が、恋とは無縁の年齢でありながら、「それなのに、あの人が好き…!」という秘めたる恋心は粋というしかありませぬ。
若いお女性には似合わないトワレで仕上げをする彼女たちは、みていてもなかなか良いモノでありますです。

年相応という自覚は、濁情を美しく飾るものかもしれませぬ。

むかし銀座ジプシーが40代の女占い師に恋をいたしておりまして、二人手をつないで新宿の交差点を、義足をガチャンガチャンとならしつつ歩いていたものであります。
若い女占い師たちからは「気持ち悪い」と陰口を叩かれていましたが、

ふと、自分が80歳になった妄想から40代のお女性を見ますと、なんと麗しいことかと、目が覚めた思いにもなるのでありますです。

2013
01.25

ワカサギの天ぷらにチャレンジいたしましたのは、ワカサギの季節だからだけではありませぬ。

「ワカサギ釣りって楽しいんだよ」
という、あるお女性の言葉を思いだしたからであります。

飲み友達であるそのお女性は乳がんであります。
そろそろ、手術ではあるまいか…と気づき、それでワカサギで供養しようかと考えた次第でありました。

男にとって乳房を失う女心については、いまひとつピンとこないのであります。
「もうひとつ残るからイイではないか」
などという軽い気持ちではなく、ピンとこないだけに、非常に心配で、また不安なのでございます。

取る前に、摘出する側のオッパイの最後の男になった方がイイのではあるまいか…などと真剣に構えたりもいたしますです。
「エッチを軽んじているからそうなるのだ」
と、なかなか下ネタにものらないお女性でありますが、そう言いましたら、
「わたしもそうたったかもしれないと思う」
と妙に素直だったところが、いまとなっては気になるのでありますです。

揚げたての天ぷらは、ふんわりと口の中で弾力がございます。

乳房を失うということは、濁情とかそういうことと縁遠くなるのか、それともぜんぜん関係なく、濁情に溺れられるのか、いやいや、やはり人生において、ひとつの重大な出来事に違いないのだから、濁情云々などという余裕はなく、ひとり怯えているに違いないとも思えるのでありますです。

飲み友達でありますから、会うときは酔っぱらっておるのであります。
いちどだけ昼間に素面で会いましたら、なにを喋ったらいいのか困りました。

ワカサギを食い終わり、携帯のメールを見つめているのでありました。