2013
10.05

金木犀が秋の花だとは、いまだにピンとこないのであります。
郷里ではたして金木犀が薫っていたであろうかと記憶を掘り起こすのでありますが、しかし、「金木犀をかいだことはないの?」と言われたのもモリオカでありましたから、私メが気づかなかっただけのことかもしれませぬ。

けれども、通りのいっかくを別世界のように変える、この薫に気づかなかったというのも妙でございます。

いずれにせよ、秋に似つかわしくない、春のように華やいだ香りとして、金木犀は私メのドタマに染み入っているようでありますです。

金木犀の名称は、どーしても金星×木星を連想いたしますです。
金星と木星の合=愛される人。金離れが良い。
金星と木星の衝=評判を気にして大盤振る舞い。借金。
金星と木星のスクエア=官能を求める遊び人。浮気。金銭感覚にルーズ。
金星と木星のトライン=恋愛体質。アイドル。交際費とオシャレに投資する。

など、恥ずかしいほど幼稚な星占いのキーワードが出てくるのでございます。

濃密なフェロモンを漂わせながら東京駅の待ち合わせ場所で時計を気にしていたお女性のことも思い出されますです。
「昼ごはん食べた?」
「まだ」
列車のなかで駅弁の深川めしを背を丸くして食べていた時も匂いはさらず、その匂いは会話会話の内容によって濃淡を微妙に変化させることも興味深いのでありました。
これは例えれば初夏の花でございましょうか。

いやいや、匂いと申しますと、こんな記憶もございますです。
むかしのことで、まだ占いの教室に通っていたころのことであります。ご老体が多く在籍する教室でありました。
午後になると、教室は死臭に包まれるのであります。
どっと疲れが出るのでございましょう。

したがって金木犀の薫りは秋とは信じられないのでございますです。