2013
10.27
10.27
ついに…!
納屋の奥の長持ちの中から出てきたのでありました。
大判小判ではありませんでしたけれど、油紙に包まれた、ふた振りの日本刀。
やや曇りが見られますですが、手入れ良く保尊されていたのか、錆はございませんです。
抜くと、重さのバランスが、鍔のあたりで取れているのでございます。
やぁ!
と、やってみました。
むむ、心の迷いが断ち切られました。ギャ!
二階の我が部屋の床の間に飾るのでありました。
なかなかイイ感じであります。
興奮しているのか、妙に勃起などいたしますから不思議であります。
刀身と鞘の関係で無意識に性行為を連想したわけでもありますまい。
刀から死を連想し、その死の連想から快楽へと、心の回線がむすばれたとでもしておきましょう。
長期間滞留しているうちにモリオカの大気から性欲だけを吸収したのか。
それとも、これも方位現象なのか。
研究の余地がありそうであります。
大判小判は諦めることにし、モリオカの紅葉を見物に出かけたのでございました。
栃の木の落ち葉が、乾いた音で風に舞っております。
もう、その落ち葉を見ても、大判小判が重なることはなく、はるか昔に置き去りにした少女も、私メと同じ年齢なのかと、いまさらのように感慨をふかめるのでありました。