2015
04.21
04.21
スーツを着るのは、じつに久しぶりでして、法事を勘定に入れなければ、ゆうに三年はご無沙汰しておるのでございました。
が、夕方に携帯占いサイトの最大手のザッパラスのレセプションが、都内のホテルでございますから、箪笥の奥から引っ張り出したのでございます。
昨年も一昨年も、普段着で出て、いささか場にそぐわなかったことを思い出したからでございます。
事務所で仕事をしましたが、どーにも窮屈でなりませぬ。
バカに肩が張るのでございます。
やっと時間になりましたのでタクシーで汐留のホテルへ。
世にも怪奇な人種で、すでに風波の間は埋め尽くされていたのでございました。
「おー、ムッシュー!」
と隣のおばちゃんお女性が懐かしい呼び方をいたすのでございます。
みると婆羅門さんではありませぬか。
銀座ジプシー王国で知り合い三十年近い歳月がたっているのでありました。
生き残っているのは婆羅門さんと私メだけ。
「戦友やもんね」
のひと言で、すべては言い尽されますです。
「あの頃は、遅い青春グラフィティーだったよねぇ」
肉を頬張り、ワインを傾け、当時の想い出話は、話せば話すほどに湧いてくるのでありました。
紫式部の歌に、
「めぐりあひて、見しやそれともわかぬ間に、雲隠れにし夜半の月かな」
ってヤツがありますが、
ああああ~っという間に時は経ち、はや別れの時。
易者パーティーはお開きとなり、別れを告げることもなく、人並みに消えてしまったのでございます。
ふーむ、ふーむ、ふーむ。
「どちらまで」
タクシーのおっちゃんに、
「八条口まで」
と告げ、「八重洲でっしゃろ」と関西弁で言い直され、不思議な気持ちになったのでございました。