06.24
もうラーメンも焼肉も汗をかくばかり。
そこで盛岡冷麺屋に立ち寄ったのでありました。
この日は冷麺祭り。
普通は780円だったかのヤツが390円。
冷麺はちと苦手だったのですが、
「イケるではないか」
なのでありました。
親族の面々も「んん、美味い」と、冷たいスープをすするのでありました。
音を立ててすすれば美味いんです、と語ったところ、「んだね」。都会からお見えの方も「お行儀が悪いけれど、ほんとだ」と。
音を立ててすすらねばならないのは、グラス一杯にそそがれたモッキリ。表面張力でこぼれを我慢している冷酒は、お上品にすすつてはいけません。ズズズッとやらないと。
音を立てないといけない、あと一つは。
それは今回はヤメておきましょう。
さて、法事の参加者には中学生のお嬢ちゃんがおりました。将来の美貌が激しく期待できる容姿であります。
セーラー服で、私メの隣席で、「ホントですか」と冷麺をすすっていたのでありました。
と、遅れて入ってきた、過去は美貌だつたかもしれぬ叔母が、
「あれカナちゃん。いつここに来たの?」
パーキングでたったいま見かけたというのです。
「どこへ行くの、カナちゃん」の呼びかけに、彼女は振り向いて店のドアを指さしたというのであります。
そんなはずはございません。
彼女は私メの隣の、奥まった席にずっと座っていたのでありますから。
もっと正確に言いますと、車を降りてから、私メのそばを離れなかったのであります。
「ヤダァ」
身を隠すそぶりをいたしました。思いがけない柔らかなふくらみをスーツ越しに感じられましたが、そのお話も今回はカットいたしますです。
それぞれの麺をすする音が途絶えました。
「何かの間違いだよ」
叔父の声に「んだんだ」「そーよそーよ」とこたえ、「辛ーい」の誰かの声で、何事もなかったかのよーに、ふたたびズズッズズーッ。
お勘定をしながらレジで店内を見回しましたが、セーラー服姿はカナちゃんの他には、誰もいないのでありました。