2019
11.12

仕事を予定より早めに切り上げ、ウイスキーを呷ったら、目の端に11月の満月が雲間を泳いでおりました。

十六夜でございます。

体内のケダモノが吠えておりますです。

吠えてもコダマがかえるだけでしょーけれど。

同じ月を眺めながらオナ電話したら…と想像しましたが、実際にはアホらしくなり、窓にカーテンを引き、照明を消して瞼を閉じ、「はーいはいはい」と応じることになるのでしょー。

古来、満月の日は動物が交尾する夜なのであります。
月夜のオス蟹は、ライバルよりはやく目指すメスと交尾するために体重を落とし、走るスピードを上げると言われております。だから月夜蟹は身が痩せて美味しくないのでありますです。

電気のない時代の人間の男も、月のあかりを頼りに、お女性の住む家に、暗闇の森を急いだのでありましたでしょう。
故に、満月に生理にはお女性はめったにならなかったとも。

が、実際は二十三夜などは深夜に月が上がるため、その三日月の弱い光に身を隠し、お女性に通ったのかもしれませぬ。
月待ともいって月が出るまで酒を飲み、
山の端に三日月がかかった頃、
「そろそ赴くことにするか」
と香を焚かせた上着をはおったのかもであります。

電気が街を照らしたのは、せいぜい百年少し前あたりから。

古代人の本能が男女に目覚めるのは、これは正常なことでありましょう。