2020
04.25

春の日差しを感じ取ったハクチョウは群れをなしてシベリアに帰ったのでありました。

が、帰り忘れたハクチョウがここに。

引きこもりのような存在でありましょうか。
慌てた様子もなく、のん気にカラスと戯れておりました。

不思議なことがございました。

東日本の大震災で母親に死なれたあと9年間、自室に引きこもっていた16歳になる少女から、
「家を出たい」
この連絡があったのであります。

従弟の娘でございます。

3年前に法事で会ったとき、こっそりお小遣いをあげたさいに生年月日を聞き出しまして、
「けっこう強いな。引きこもりも意志力のたまものだね」
と失言したことを思い出しました。

叔母からは、十傳事務所で働かせてくれない? と頼まれましたが丁重にお断りしたのであります。生年月日ではなく、その美貌の行く末に、私メの自信が持てなかったからだとしておきましょう。

「家を出たい」
などの発言は、彼女だけでなく、中国人がもたらした新型肺炎の蔓延と比例し、多くの引きこもりとされている方々にみられる現象であります。

環境の変化によって、それまで問題とされていた方々が、いまや「飛び立ち活躍する時だ」と無意識に何者かに突き動かされているのかもでございます。

ツテを頼り、全寮制の或る医学系の専門学校に入ることができました。
中学には一日も登校していないのが心配ではありますが、
旧友も、
「だいじょうぶ、大丈夫」
と笑顔でうなづくし、ガンコな生年月日の持ち主です。ダメならダメで引きこもりに戻ればいいこと。

「おじさん…」
クルマの助手席のセーフティベルトを胸をさらすようにして外した彼女は、案の定、身震いするほどの美貌に脱皮しつつあるのでありました。

なにか告げたかったのか。
聞こえませんでしたが、角を曲がるまでサイドミラーに手を振る姿が見えておりましたです。

飛べないハクチョウは私メかもしれませぬ。
いえ、飛べないのではなく、飛べなくなったというのが正解でありましょう。

すべての人たちは、いやいや、すべての物体はなにかの使命を背負ってこの世にいるのであります。

その使命を果たす時があるかどうかは別として。

あたかも断易で、官鬼という嫌われ者の六親が伏さず動かずにジッと存在することで、貧乏星の兄弟という六親を抑えているような感じでありましょうか。

では、私に与えられている使命とは。

それは誰にも分らないのであります。

 

2020
04.23

ゆいいつ失敗したことは、別宅にシャワールームを設置しなかったことでございました。

母屋を作っていますからお風呂が使えませんです。
老母が住んでいるアパートは脱衣室がございませんから、私メの裸体をさらすことになり、老母にとっては息子の60年以上ぶりのおヌードを見ることになりまして、それは絶対に避けたいところでありました。

アパートに空き部屋があれば、そこのシャワーを使えるだろうと読んでいたのでしたが、あいにく空き部屋はなく、それは嬉しい誤算でございますが、指折り数えると、すでに三日もに入浴しておらず、なにやら臭いを自覚するのでございました。

それ以上に、ツカツカと頭皮が痒いのであります。

ふぐりも汗ばんでヌタヌタしておりますです。
私メの悪癖のひとつに、ソコをちょす習慣がございます。
気が付くとしばしば指でころがしていることがございます。
「やめて」
と言われましても、チョスことで心がかぎりなく安らぐのみならず、アイディアも湧きますから止めることはできませぬ。
しかし、指までヌタヌタすることに、ちと困りましたです。

洗面台にまたがって、ソコをお湯につけて洗うことも選択の一つに上がりましたが、そういう年齢でもないと戒めたのでありました。

結局、
「温泉だ!」

愛車を、まだ雪が横殴りに吹きすさぶ、山奥の温泉地に走らせるのでありました。

途中から道はシャーベット状。凍結もしておりましたが、選びに選んだ、『雪路に絶対的に強い車』だけのことはあります。悪路をものともせず、むしろ水を得た魚のごとくの快走。

温泉は営業しておりました。
私メだけがお客。
宿の幼い娘が赤いスキーであそんでいるだけ。

ゆっくりと垢をおとしたというしだいでございます。

老母も伴いましたが、
「すべって転んだらヤンたおん」
ということで、刻々と移り変わる窓外の景色を打ち眺めていたそーであります。

その頃、私メは温泉水に中国肺炎のウィルスが溶け込むってこともアリだよな、と湯上りにシャワーをし、体が冷えてしまいまして、またお湯に身を沈めたりしておったのでございます。

帰り道の、道の駅のトイレでふぐりをチョシましたら、さらさらで快適なのでございました。

2020
04.22

別宅からでございます。

リモート講義の準備などを、電話で教えられつつ、ひとつひとつクリアしておるのであります。

手相Dのセミナーは、完全リモートでありますから、いつになく真剣でありまして、そのぶん新しい知識が、蜘蛛の巣の張った脳みそに、まだらに入ってくるのでございます。

世間は、中国肺炎のストレスで頭が過熱しているみたいでありますが、次の展開を考えなければなりません。

排気ガスのない澄んだ青空を仰ぎ、
「まてよ」
青空の悪影響なども想起するのでございます。
この夏は虫の天国になるのでは…と。

モスキートの大量発生とかであります。

「んだば、さっそぐ明日、蚊除けを買いにいがねば」
老母は、「あんたのカンはおっかねくらい当だるから」と、豚しゃぶの肉をすくいながらマジ顔。

「まだある」
不吉を並べたてると、「紙に書いてで」とも。
90過ぎていても、まだなお生きようとしているのであります。

デマのなかに真実があり、真実のなかにデマがある。

政治家も学者も、このたびの疫病に対してのデータもなければ対処方法もなく、ただ、
「三密を避けて」
と叫ぶばかり。あとはマスクと手洗い。幼稚園並みであります。

さぞや大変だとおもいますです。
民衆もまた、ただ
「保障しろ。金をよこせ」
の悲鳴。

なすすべもないのなら、おっぱいに顔をうずめる妄想に浸りつつ、運命にすべてをゆだね、次の展開の対応をすることが賢いのであります。

が、ひとつだけ申しておきますです。
かつて国の命令に従って正しかったことがありましたでしょうか。

五輪を招致しようとした者たちよ。
このままオトボケなさるおつもりか。