2020
07.31

2020年夏。
狂いの夏。
しかと記憶いたしましょう。

20代のときに、すこし付き合ったお女性がおりました。
ひと夏といえばロマンティックでありましょーか。
40年という時を超えて、彼女から連絡があったのであります。

「ギョエエエエ~」
古いのですが楳津かずおバリに驚いたのであります。
「久しぶりにランチでもいかがですか?」
ギョエエエエ~

どーやって私メのメールを探し当てたのか、恐ろしくなりましたです。

つづけざまに40代に付き合ったことのあるお女性からも。
「この音楽で思い出さない?」
YouTube付きのメールが。
グェグェグェ~

何も思いませんです、なぁーんにも。

どーなっているのでありましょーか。この夏は。
老お女性から恥じらいを奪ってしまったのでありましょーか。

それとも美容整形をして60代でも自信があるのか。
いやいや、中国人がもたらした疫病が蔓延しているために、
「逢おう!」
ということにはならないだろうと読んでいるのか。

そのご心配ならば無用でありますです。
会うわけがございません。美容整形で若返ったところで、口臭は嘘をつきませぬ。
60代の二人の秘密のデイトを考えただけでゾッとしますです。

が、ふと試したいよーな気持ちがムクムクと起きるのでありました。
老婆になっても傷つく心を持っているのであろーか、と。
20代の夏に、海から帰る電車の中で泣いた彼女。
40年後も泣くのであろーか。

言っておきますが、私メはもう20代の私メではございません。
優しい心も干上がり、残忍な好奇心が残っているばかり。
「おおっ」
盛り上がった弾力のある乳房をつかんだ夏から40年後の、その乳房はどーなったのか。美容整形のものか、それともいちめん縮緬皺でおおわれているのか。それともどす黒く老けた顔とははんたいに乳房は白く健在なのか。

恐ろしいのは時という無常でございます。
私メも完全に老いてしまい、
「今日は、急用が出来まして…」
再会の駅などで、こう拒絶されるのかもしれませんです。