2021
01.20

毎日、通っているのです。
蘭丸のいるコンビニに。

吹雪の日に、一人で、店のパーキングの雪掻きをしていましたね。
髪の毛を風に乱し、素手で、その指先を痛々しく赤く染めて。
雪を除けるたびに、あなたはお尻を突き出し、そこだけ、
「ああ、お女性なんだ」
胸が早鐘を打ちました。

だけど、レジでのあなたの仕打ちは冷たすぎるのです。
切れ長の少年の瞳には、私メが映っていないのです。

春一番に芽吹く、つくしのような真っ白いペニスを、いちど舌でころがしてみたい。硬さをはかってみたい。
腋の下をさらして、まばらに生えている腋毛の一本一本を噛んでみたい。そのとき小さな乳首が、私メの乳首とこすれあうかもしれません。

モリオカでの楽しみの一つが、蘭丸を見学に行くことなのでありました。
そして妄想というベールで包み込まれる喜び。

まだ関東から離れて三日しかたっていないのに、関東が遠く感じられますです。
関東が、
「夢ではなかったのか」
そんな不思議な錯覚が、どういう回路の働きなのかジェンダーの蘭丸くんに走らせるのでございます。

帰り道は、
「まずはおわった」
あたかも神社の参拝をすましたあとのような、寂しくも清々しい気分なのでございます。

これは本物のお女性にたいする苦しい気持ちとは、似てはおりますが、いささか異なりますです。
あえていえばペット。
コレなのでございます。

自分のペットではなく、ペットショップのゲージにいるワンちゃん。
「まだ買われていなかったか」
の愛くるしい安ど感。
パグとか、そういう犬種で、そのなかでも、どこか不細工な犬。不細工なのに懸命に生きようとしている切なさ。
けれど、そのうち初見は不細工だけれど、それがたまらない魅力に蒸留されて感じられる犬。

カタワだからこその美。実用としては使えない観賞用の陶器。
自己主張しない美しさ。

だからこそのOh!蘭丸、なのでございます。

親しくなれば、すべてが壊れていきそうです。触れるさきから掌でとけてしまう淡雪のよーに。
遠くで見ていなければならない美しさなのでございます。