2021
08.03

シジホスの神話だ、などと哲学的なことでゴマ化すことは出来ません。
頑張っても、頑張っても、その頑張りをバカにするよーに、次から次へと問題が現れるのであります。

草のことであります、雑草。
極端なことをいえば、草取りをして、振り返ると後ろから音を立てるよーに新しい雑草が伸びているのであります。
毎日、炎天下の中、発狂するほどの大汗をかきながらの作業が、すべて無駄。
このままでは一週間の苦労は、すべてヨシヒデ内閣と同じである。

そこでホームセンターに車を飛ばしたのであります。

見つけたのが、コレ。
草焼きバーナー。
さいわい店には妹の亭主の千葉さんはおりませんでした。
居ても別に悪くはないのですが、
「お義兄さん、いつ戻られましたか?」
「一週間前だったかな、千葉さんも元気そーで」
みたいな社交辞令は御免こうむりたいところ。
また、
「ボンベを一個、おまけにつけました」
と言われるのも嫌だし、オマケをされないのもイヤであります。

とにかく34℃の猛暑の中、さっそくセットしたのでありました。

点火すると、風のよーな音で炎が吹き出ました。
「死ねぇ~~!」

草取りをしたところを、仕上げするよーに、炎で滑らせたのであります。
チリチリと取り残りの草が死んで行くのであります。

草から落ちた「種」が問題なのだと思っていましたから、これで根蓋をすることができそうであります。
当分の間は、不届きな雑草はおとなしくしていることでありましょー。

蟻さんこそ迷惑だったかも。
しかし、逃げ惑う蟻を炎で追っていくのも、沖縄の人々を火炎放射器で殺していった米兵に共通する残忍な悦びでございます。
油断をして草むらで昼寝をしていた夜の蝶までもが目を覚まして出てきたばっかりに焼却されていくのでございます。

「すべて殺処分だ!」
伸びだした新芽たちも「うぎぁ!」とばかりに炎に燃えていくのでございました。
「ボクは大丈夫ですよね、水仙の球根ですから」
「あたしとの仲じゃないの、キレイな花を咲かせたじゃないかって言ってたよね、ドクダミだけど」
だめだぁ~~!
「なにもかもすべて死んでもらうぞ~!!」
妄想の果てに作業は終わり、全身は汗まみれ。

「待っておれ、明日も可愛がってやるからな」
運命の勝利者のごとく、唇に笑みを浮かべ、バーナーの聖火を消したのであります。