2022
07.28

老母の名言の一つに、
「死んでもらいて人ほど長生きするもんだっけ。んだがら長生きしてほしいと思うのさ」
がございますです。

モリオカの隠れた名物に「ダンゴ」がございます。
べつに隠したいのではないでしょーが、冷麺だのじゃじゃ麺に比べれば有名ではなく、また私メが、さほど団子好きというわけでもないので、「有名だよ」と言われているのかも知れませんですね。

その団子屋の老舗が焼失いたしました。
全焼でございます。
モリオカの、数少ない城下町の名残の、道が90度にガキッと曲がり、クルマで通り抜けるのに神経を要する、その曲がり角に立つ店でありますです。

かなり前に、モリオカの鑑定の男性のお客様に、「飛鳥跌穴」という奇門遁甲の吉方位を授けたことがございます。飛鳥跌穴とは、金運の吉方位で、棚ぼた式に儲かる象意がございます。
さっそく「当たりました」との連絡。
聞いてみましたら、「訪問先で、団子を土産にもらいました。これって棚ぼた式でがんすよね」とのこと。
ちとガックリしました。
いい歳の男が、団子を貰って嬉しそーな顔をするでない! と心で思いましたが、その貰ったという団子が、この店の団子だったのでありました。

この店の他にも、美味しい評判の団子屋が数件ございます。
取り壊さなくても、こういうふうに古いものは消え去っていくのでありましょー。
戦で寺院が焼けたとか、明治時代の廃仏毀釈でかなりの美術的評価の貴重な仏像が焼かれたと聞いております。

形あるものは、すべて滅する。

なんて、気取るつもりはございませんが、書庫の中の占いの資料とかノートとかは大丈夫かなとふと思いました。
かといって、PCに残しても、ちょっとした磁気でダメになるかもしれず、クラウドも信用しきることは無理であります。
やはり石板でしょーか。

…べつに残さなくてもいいのかも。
老母の名言からすれば、そういう意識になれば残るのかもしれません。

と思ったら、雨が降り出し、たちまち土砂降りでございます。

2022
07.27

中学二年の、その一年間だけ担任だった教官の訃報がございました。
通夜に参らねばなりません。

死んだ時に呼ぶ人を書置きしていたらしく、私メの名もあったそ―であります。
幸か不幸か、ただいま実家におりますので、直接に連絡を受け取れましたです。

神保町の以前の事務所の住所は知っておりまして、一年に二度ほどの割合で分厚い封筒を受け取っておりました。養護施設に働き口を変え、そこでの医療体制について情熱的にしたためられておりましたです。

中学二年の担任でしかないのに、そこまでの縁が続いたにはワケがございます。

5月だったかに十勝沖地震が発生したのでございます。当時の震度は6。
教室は大揺れに揺れ、速やかに校庭に避難したのでありました。
その校庭を、いくつもの地割れが走るのであります。深さは1センチにも満たないのですが、ジグザクに幾筋もの地割れでありました。

さて、全校生徒が並び、点呼を取るはずなのですが、担任がおりません。
どこかで被害に遭っているのではないかと、探しましたが、どこにもおりません。

担任は、当時、新婚ホヤホヤでして、慌てて自宅に帰り、新妻の安否を確認したそーでありました。
午後に頭を掻きながら戻ってきましたです。

地震よりも大変な騒ぎになりました。
生徒からは「無責任」と罵られ、教官たちからは「職場放棄」としてお叱りを受けたとか。
HRの議場にも諮られ、殺気だち、まさに吊し上げでありました。
で、「オノ君は、それについて意見を言ってください」と委員長から指名させられましたので、

「先生の立場だったら、ボグも同じごとをしたんでねがど思います。んだってロミオとジュリエットみてだおん」
このひと言で、場が和んだよーでありました。

しばらくしてから、担任から電話があり、自宅に招かれました。
可愛い奥さんがニコニコして出迎えてくれました。ピンクのブラウスが眩しかったです。
が、出されたものは、平底のフラスコとアルコールランプ。
担任は理科の教官でした。
「ぼくはいつもこーやって飲んでいる。キミは恩人だ」
中身は日本酒でありました。
奥さんもニコニコして注いでくれました。
3回お酒を注いだまでは憶えております。

酔っ払い、耳まで真っ赤にしてグテングテンになって帰り、母に叱られました。

お酒を飲みながら、私メは、将来、本を出したいという意味のことを漏らしたらしく、以後、
「キミは文才がある」
と励ましてくださいました。
それで、私メの本をどこかで見つけ、わざわざ出版社に住所を尋ね、封書を送っていただいたのであります。
返事はほとんど出しませんでしたが。

あの奥さんも老いただろうなぁ。
「ざまみろ、ざまみろ、ざまみろ」
通夜で、泣いてしまったらどーしましょーか。

2022
07.26

東北北部の梅雨が本日、明けたとか。
「まだ明けてなかったのか」
ガリガリと暑かったのであります。

雑草を草刈り機で、一歩ずつ前進していましたら、春に植えたイモのところにたどり着き、そしたらイモが顔を出しておりました。
とぐろ状の芋畑は、豊作なよーでございます。

が、暑くし暑くて、頭がくらくらし、
「おえっ!」
軽いツワリに見舞われましたので、芋ほりは明日に順延することにして、まずは、この忌々しい草どもを一掃することに、最後の力を注いだのでありました。
草茫々の風景も撮影したかったのですが、あまりの茫々さに撮影する気力も湧きませんでした。

本日は、農夫でございましたです。

いや、午前中と夜は鑑定。その合間には、奇門遁甲カレンダーの作成と、なかなか有意義な過ごし方をいたしました。
それと、アパートや貸家を管理してくれている不動産屋の担当者との打ち合わせもございました。

ひとつだけ残念なことは、完全色気抜きの一日だということ。
まぁ、お陰で汗まみれ、泥まみれに、なんの気もせずに没入することが出来たのかもしれませんです。

奥の庭の雑草を刈り取るまでに二時間も要しました。

思えば、
「なんでもかんでも一人でやる運命か…」
そして、それはそれで満足なのであります。
私メは、誰にも使われない生き方を目指してきたからであります。
しがない易者ではありますが、では、どういう生き方をすれば良かったのでありましょーか。
自由業でも、いろいろな団体があり、そこにはボス的なお方がいて、それらのご機嫌を損じないよーにしなければなりません。

自由に乱暴な本音をブログに漏らすことも出来ませんではありませんか。
これでも精いっぱいだったのだ。

「これでイイのだ、これで」

梅雨明けの空に積乱雲が展開しているのでありました。

東京をすこし考えました。
すべて遠い昔みたいにしか思い出せないのであります。

昆虫どもが、草刈跡をのそのそと動いておりました。
「悪い事をしてしまったかな」
ただ呟いただけであります。