2022
08.19

これが1998年から2001年まで使っていた事務所であります。
地下鉄神田神保町まで徒歩30秒、階下は喫茶店と寿司屋。
銀行も郵便局も近くにあるという便利さ。
もちろん古本屋も。

資金がございませんでしたから、マンションなどに事務所を置くのは夢のまた夢。

同業者には、さぞ嗤われたことでございます。
が、そこが可愛らしかったのか、どんどん仕事が入ってきたのでございます。
まさに奇跡の如くでありました。

いまのよーに鑑定することはほとんどなく、連日、雑誌や単行本の原稿の作成。
パソコンを二台置き、片方は連載のヤツ、もう片方は単行本用。

家賃は、11万円。
「高い」とは思いませんでした。
そして、このボロ具合を気に入っていたのでございます。
考えようによっては、なかなか借りることの出来ない希少価値的な建物ではございませんか。

ただ、不便なのは、大きな印刷機を入れられないこと。
「床が抜けて、下のお寿司屋さんに落ちちゃいますから」
と不動産屋から注意を受けておりました。

また、ネズミが出るために、月に一度はネズミ駆除の業者が来るのであります。
そして、ネズミ捕りホイホイを天井にセットするのですが、その日のうちに、ネズミが引っ掛かり、キイキイと二三日泣きっぱなし。そして、腐っていき、夏場など、死臭が漂うのでございます。
そこで、空気清浄機を二台買い、本箱の上に、天井に向けて設置してもどーにかこうにかでしたです。

で、ここで第一回目の金運が到来したのであります。
しかし、慣れないお金というモノは、人間を振り回すよーです。
毎晩、飲み屋通いをしたり、クルマを購入したり、お金を貸したりと、自分でもワケが分かりませんでした。
そーして金運が去ってみて、
「こんどはお金は慎重に使おう」
しきりに反省したのでありました。

40代でしたが、まだまだ元気の盛りだった気がいたします。

次の事務所も、またボロ雑居ビルのペントハウス。
それはそれで、またあとでお話いたします。