2022
11.01

いっけんヘンテツのない餃子でございます。
料理本の片隅に、
「ラム肉を使った餃子もイイですよ」
に惑わされまして、作ったのがコレです。

ラム肉をフードプロセッサーを用いて、こまかく挽いたあたりから不吉な予感がしておりました。

が、途中でやめるわけにはいかず、他の料理に変更する考えも浮かびませぬ。
まるで人生が悪しき方向へと転がり落ちるのを止められぬ状況に似ておりました。

もくもくと具にニンニクやら白菜などを突っ込み、混ぜ合わせ、皮で包むのでした。

そして焼きに入りました。

ひどい臭いがたちこめキッチンは、土人国の屋台みたい。

しかも、味は、
「まじぃ…」
酢にも合わず、マヨでも駄目。ソースをつけたら余計に気持ち悪くなるのでした。
ついには清酒にひたし、醬油とラー油をぶちかますほかありませんでした。

最悪な人生をたどった中年男が、場末の飲み屋の、かすれ声のママさんに、
「ボトルも入れてぇ、アッハハハ」
と抱きしめられている如し。

カウンターには、人相の悪くなった相川佐一郎がいたりしたりして。
相川佐一郎は言うでしょう。
「人生の帳尻は合うもんだトホホ、NHKの奴らをぶっ殺してやる!」

ママはしゃがれた声でガハハと笑い、
「だったら、あんた」と中年男に肥えた腹部を押し付けて、
「宝くじに当たらなきゃ嘘じゃん! 帳尻合うんでないの」

妄想に遊びつつ、なんとかラム餃子を平らげるのでありました。