2023
02.25

完全なる源泉かけ流しなのでありまして、とても湯の温度が高く、最初は後からしずしずと入らなければなりません。
あとは、ざぶんと肩まで。

無人の宿ですから、せっかくということで、ここは女湯。

純白の雪と、肌にしみこむ嘘偽りのない源泉。
いかに、いままで誤魔化しの世界に身をゆだねていたのかを、つくづくと感じるのでありました。

誤魔化しのお笑いに笑えというのかという芸人とかいう阿保ども。。
盗作寸前の音楽。世間の評価ばかりに躍起となるくだらぬ馬鹿ども
差別に抵触せぬかと恐る恐る書いたひとつも面白くない小説。
よくぞこんな料金を取るなぁと恥ずかしくなる、高いだけでじつは不味い料理店。
心理学と占いを混ぜ合わせたバカ占い。似非占い師ども。

世の中から隔絶されて半日もたたぬうちに、偽物の社会が見えてくるのでありました。
本物を知らぬしやわせな奴ら。
しかし、それらも、お湯の熱さに痺れるうちに、どーでもよくなるのでありました。

驚いたのが、川から引いた水。
コップの底に、キラキラした砂が沈殿するのですが、その水でいれた珈琲の、じつにまろやかなこと!
いままで、何を飲んでいたのかと切腹したくなるのでありました。
チョーセン人!

よーし、とオショしい決断をしたのでありました。
私メの鑑定やスクールだけは、完璧なものにするぞ。

これでありました。

せっかくの好意で、通行止めのゲートを開いてくれ、その先10キロの距離を迎えにきてくれた若造君のためにも、ここは、いままでの姿勢をあらためて強固にすべきだと思ったのでありました。

川の水を何倍飲んだかしれません。
お湯割りでオールドをしたたかに飲むのですが、快い酔いが持続するのでありました。
四倍に薄めたお湯割りがもっとも美味いと、喉が分かるのであります。
「うまいなぁ」などとお世辞を言う必要もございません。

それから夜更けの入浴。

廊下の向こうに小さく見えるのは石油ストーブ。
私メだけのために一晩中、温めてくれているのでありました。
チョーセン人!(嬉しい時や腹立たしい時に出る、私メの最近の癖になった雄たけびであります)

去年の秋に、ここを訪れたとき。
「ここは誰にも教えたないですね」
どーやら、この一言で、合格したみたいなのでこざいます。
「冬に連絡してくれたら、ゲートを開きますがら」
マスコミ取材厳禁、他人には極秘にするスタイルの秘湯なのだと知りましたです。
半信半疑で電話したら、やはり不通。つながらなかったのであります。
ところが数日して、応答があるという予想外がおきたのでございました。

持参したスクールで用いるテキストに目をとおしながら、
「ここを根城としても悪くない」
格安の宿泊費(都内の10分の一ほど)で一か月分の値段を暗算しつつ、あたらしいドアが開かれた気持ちなのでございましたです。