2023
01.26

陰鬱な雲がたれこめ、荒涼たる冬の、この、なだらかな上り坂の風景が好きであります。
「好き」
という言葉は似合わないかもしれません。
心のジグザグに、カチッとおさまるのでございます。

誰のどんな乱暴な言葉にも、
「いろいろだよな」
と包み込む余裕がうまれる風景なのでございます。

いま郵便局の赤い車が通り過ぎたところであります。
雪を踏むタイヤの音は、ベースギターのよーに脊髄につたわるのでした。

誰のどんなやさしい囁きにも、
「はははっ」
と笑って受け止められる素直さが宿る風景なのであります。

誰のどんな悩みの悲鳴にも、
「まずは温まれよ」
と、熱いココアをすすめる無が心に広がる風景でございます。

しかし、その風景に慣れてはいけないのであります。
長く眺めていれば、香水の香りが瓶から逃げてしまうよーに、普通の風景になります。
一年に一度、いや、そこに雪がなければいけません。数年に一度、この場所にたたずみ、あとはその記憶を反芻するのがよろしいのでございます。

心はやはり毛羽立って苦しむのが正常であります。心のジグザクが片方だけで悶えるのが丁度よいのであります。

そーしながら、実は、大通りの奥にあるラーメン屋に心を馳せているのでした。
「蘭丸…」

  1. まずは蘭丸さまの命式を手中に…

    ●十傳より→それは至難のわざですね。

  2. 蘭丸さんって、
    タブレット純みたいな雰囲気なんですか?

      ●十傳より→ではないですね。ホンモノであります。