2023
03.26

仕事をしていましたら甥っ子がやってきました。妹の息子であります。
けっこう太ってやってきました。
身長が185センチほどありますから、それが太って見えたということは20キロ増だと目測いたしました。
「的中!」
ゴマをするのでございました。

今年で30歳になるとか。
「と、いうことはあと10年で40だな」
我ながらイヤなことを申しましたです。

が、男にとって30代はじつに苦しい期間でございます。
その苦しさが40代50代まで続くのか、そーでないかはやはり30代の過ごし方なのであります。
男は…と書きましたが、お女性はそれ以上かもしれませんですね。

勝ち負けにこだわり、勝てば勝ったで苦しみ、負ければ負けたで苦しみ、では人生に勝つということは何なのだとすべてがバカバカしくなったりもいたします。

俳優の東出ナントカに似ていましたから、「モデルになればどーだ」と勧めたこともございましたが、もはや甥っ子は年齢的にも肥満的にもそれを勧めることはふざけ過ぎております。
高校を卒業後、名古屋あたりに就職したが、昨年に岩手県に戻ったことは妹から耳にしております。
「オンナは出来ないのか」
「ぜんぜんです。なにをやってもダメっぽいです」

相談っぽい顔をしていましたが、身内の相談ほど危険なことはございません。
「メシを食いにいこう。ナニがイイ?」
「中華」
瞬間的に、蘭丸さまが浮かびました。
「いやよそう、蕎麦にしよう」

甥っ子の運転で、蘭丸さまが働く中華屋とは正反対の店に向かったのであります。
「ずいぶん運転が上手いな」
褒めることはソコだけでありました。
「ちっとも揺れを感じない」

人はいつかかならず死ぬ。それが早いか遅いかの違いがあるだけで、その宿命から逃れることはできない。
自分で自分の人生を満足できないのであれば、そして、ほとんどの人間は満足することはないのでありますが、であれば、他人にとっての「質問」としての人生であればイイのではないかと思うのであります。

「上手い、上手い、才能がある」
「ですか」

とたんに道のくぼみに後輪を落とし、車が大きく揺れました。異常を告げるブザーが短く鳴りました。
「……」
「……」

帰りに、甥っ子のクルマにガソリンを満タンにしてあげました。
数少ない幸せのなかに、ガソリン満タンがあるからでございます。

  1. 現在彼女もいない ….何を嘆くことがあるでしょう
    甥っ子さん、伯父が小野先生と言うだけで
    最高に恵まれているではありませんか
    最強の占い師である小野先生のアドバイスを受けることが出来るのですから
    窪みに車のタイヤを落としたくらい ドウってことないさ——-。
    ドンマイ 甥っ子
    例え車をお釈迦にしても 御釣りが出るくらい恵まれていますよ

    ●十傳より→若い男にとって、そこらへんはとてもデリケートな問題かもです。

  2. 逆に身内だと占いの話するのってこっ恥ずかしくないでしょうか?
    特に男同士なら尚さら。

    ●十傳より→身内の弱味みたいなところを取ってしまうと、今後の付き合いに支障が出るのであります。