08.08
戦後間もない頃には、こういう店があったんだろうなぁと、つい見とれてしまう一軒が、事務所からほどちかい江戸川橋の一画にあるのであります。
午後五時に開店し、15分で、しがない男たちで満員になる、カウンター12席とテーブル席二つばかりの五坪にみたないモツ焼き屋なのであります。
同行のＭ氏は、働いている奥さんらしき30代後半の薄倖そうなオナゴ殿をみて、
「ＤＶをうけているに違いない」
と嬉しそうに語るのであります。
観察すると、いかにも影か薄いオナゴであります。
小さな頃にサーカス団に売り飛ばされ、そのご九龍の淫売宿ではたらき、その頃に知り合った現在の亭主と密航船で九州にたどりつき、しかし夫の仕事がうまくいかず、日夜殴られ続けながらモツ焼き屋のオカミとして暮らしているような風情であります。
おもいっきり笑ったことのない顔つきであります。
「奥さんのことさらってしまいたい」
Ｍ氏は焼酎グラスをかたてにオカミから目を離せないでいるのです。
「サゲマンですよね」
と妄想の恋にピリオドをつけるように、やっと視線をもどすのでありました。
が、恋というものは妄想がおわってからがタイヘンなのであります。
グラスを重ねるうちに酔いがまわってきましたので、煙草をかいに出ました。
煙草は私の場合，悪酔いを防いでくれる薬であるようです。
が、店に戻るとＭ氏はカウンターについてオカミを口説いているのであります。
「やはりＤＶされている」
と私に耳打ち。
そういうキズのある女にＭ氏は弱いようであります。その気持ちは私にも分からなくもありませんです。
モツも極上ですが、ポテトサラダの美味い店でありました。
その後のＭ氏の恋がどーなったかは分かりません。
いつ、ツブされて、ひそかに串焼きにされるのか、Ｍ氏から目の離せない日々であります。
『サーカス団に売り飛ばされ…』
な、懐かしいシチュエーションであります！
チョコとクッキーに目がなかったあたしは、家族から
「おまえはチョコで釣られて、人さらいのおじさんにさらわれて、サーカスに売り飛ばされちゃうぞ！」
と何度も脅かされたものです。
ピノキオの映画が怖くて怖くてたまりませんでした。
知らないおじさんに声をかけられると
上目づかいでおじさんを睨みながら後ずさりして
ある程度おじさんから離れてから
ピュ～ッと逃げ出したものです。
おかげ様でさらわれず現在にいたってますですが、
今じゃ誰も近づいちゃきませんってば…あっちゃっちゃーです。
●十傳より→懐かしいのではなく、これは日本の近未来のような気がするのであります。震災後、日本は着実にこの世界へ入りつつあるのであります。とにかくお金に困っているの現在の日本。それをひた隠しに隠しているにすぎませぬ。そうではありませぬか？
お金もそうでしょうが
原発が日本にあるかぎり
魅力のあるレでぃーガガが情熱的に日本をアピールしてみせても
賢い外国人は今後も訪日しないでしょう
海外の名だたる美術品が日本に来なくなったのと同じように・・・
日本はクソだらけの国になってしまうかもしれませんね 衰退、滅びゆくニッポン
一部の集団に潤いを与える為に戦争をやらかすアメリカという国が大嫌いですから、あたしは米債・米ドルは買いません
Ｔ電から自殺者までだす必要はありませんが、そろそろＴ電社員から原発についての意思表示が漏れきこえてきてもいいころではないでしょうか？ 組織は、こういうところが怖いです。個人の意思の前に、組織の力が優先され、抹殺される。組織のもともとは、人、人、人の集団のはずなのに。すくなくとも、自分の子孫の未来を考えたらこのままでいい筈がないのに。長期的予測で、利益追求の観点から考えても。
福島産の白鳳、我慢できませんでした。とても美味しかったです。
●十傳より→いややはり、東電側からは切腹者50名は要求してしかるべきであります。死んでお詫びしてもらわないことには話になりませんです。私から指名してもイイのですが。銀座の仇を原発でとるってわけです。
しかし甲子園の花巻東のふがいなさは岩手県人として恥でありました。まさか生きて一ノ関以北に返ってくるんでべねべなと同郷のオヤジと語りっていたのでありました。まぁまぁ、子供の野球ごっこですから、ジョークですよ。なんとなく被災地をタシに使われていますですよね。
>恋というものは妄想がおわってからがタイヘンなのであります。
年々、妄想期間が短くなっていくような気が……。
妄想期間が終了した後は、いったい何を燃料にしたらよいのでしょうか。
ホントにもう……。
●十傳より→燃料は罪悪感でありましょうか。相手を裏切って、その罪悪感で愛を高めていくというような。
「ツブしたて」とは、なんともかんとも恐ろしい表現。
職場の近くに、「牛いっぴき」という潰れた焼き肉屋がございました。
「そのセンス、どうなの？」と思う次第です。
●十傳より→腕組みしながらわらって殺人に加担したような気分ではありますですね。
影のある傷がありそうな女性…。
そういう人って男心をくすぐるんでしょうねぇ。
あたしは、亡くなった母のことで、人には簡単に言えないような暗い過去もあります。が、
全然、そんなふうに見えないそうです。
悩みなんてなさそう。とか、いつもニコニコしていて幸せそう。とか、あなたみたいに幸せな人には分からないないでしょう！？なんて言われる始末…。
けっこう苦労してるんですけどね。
でも、あたし自身も、他人に「いかにも苦労してそう」に思われたくないから、これでいいと思ってます。
同情されたり憐れに思われて、惨めになりたくないから。
そして、「つらいけど頑張ってます風」にも見られたくない…
と言いながらも、薄倖そうな儚げな女性って憧れるし、羨ましい。
男性はやっぱり、守ってあげたいと思うんでしょうね。
そういう人ニ私ハナリタイ…けど、ダメ、やっぱりできません。
●十傳より→どう見られたいとか気にするのは面倒なので、その日その日の気分でテキトウにヤルのが楽でありますです。どっちにしろ相手は、こっちより自分のことだけを考えているわけですからね。