10.15
男というものはバカなものでありまして、遠い日の恋をいまだに鮮明に記憶しているものであります。
一昨日ブログにUPした高校時代のキスも…、いや、そんな記憶は私だけでなく、友人のエディターなどは、高校時代に付き合っていた女子と三年前から復活させているのであります。
彼は私と同様に、月に一度、老いた母親に顔をみせに帰省しているのでありますが、その彼女を同行させています。
つまり彼女も親の世話で東京から郷里に帰るわけで、羽田空港で落ちあうらしいのです。
むろん彼女は人妻。彼の方は独身であります。
それで、夜になってドライブをするということでございます。
不倫なのですが、彼は否定いたします。
「純愛にちかい」というのであります。
純愛…。
不倫の純愛。
そういうこともあるのでございますね。
純愛日記というスェーデンの映画がありました。
内容はほとんど覚えてはおりません。
球技大会のあとに、私たちはこの映画をいっしょに見たのでございます。
キスしたら空気ごと接着剤で貼りつけたようになってしまったのあります。
それから喫茶店でレモンスカッシュを飲み、それでも離れがたくて城跡公園に行きました。
お城の石垣に彼女は背をもたせかけ、私は傘を彼女にさしかけました。
そういうことが思い出になるなどと思いもよりませんでした。
30年以上も経過した今も、たまに城跡公園のその石垣に手を当てたりいたします。苦笑いしながらね。
あたたかくも冷たくもありませんです。
ただ手を石に置いていると、30年前の彼女の背中に触れるのではないかと思うのであります。
なぜなら、あの時、彼女は゛キャッと小さくさけんで突然に背中をはなし、「なにかに触られた」と石垣を指差したのです。
「人の手みたいだった」
と制服の背中をみせるのでしたが、雨に濡れているだけでありました。
もしかすると、彼女の背中を石垣の奥から触っていたのは、30年後の私の手かもしれませんです。
ジョークですよ、もちろん。
しかし、
時空を超えて、私の手が彼女の背に触れるかもしれないという愚かな幻想を楽しむのは、やはり老いたという証拠でございましょうね。
すみませぬ、この後は、十傳クラブブログにワープしてください。