2010
12.26
12.26
女医に、
「一週間後に抜糸よ」
とニタリとされて帰宅したジョルノであります。
エリザベスカラーのために服を着せることもかなわず、ヒーターをきかせたシートの上で、このような情けない姿。
睾丸を抜き取るということはどういうことなのでしょうか。
「ワンちゃんてね」
と女医は私に注意をしたのであります。
「傷ついたイヌをみると、その傷口を舐めて癒そうとする性質があるのね。でもイヌの唾液には雑菌があるから、とても危険なのね。だからロメオちゃんに、ここを舐めさせてはダメなの」
女医はジョルノの術後の傷跡をしめしながら、意味のあるような目つきでゆっくりと私に視線をもどすのでありました。
ブラッシングすることもできませんから、毛は乱れっぱなしなのであります。
こころなしか元気がありません。
失ったということはこういうことなのかもしれません。
同じオスとして同情を禁じ得ないのでございます。
ついに、あの頭の奥にまで白い電流が痺れるようにスパークする官能の悦びを知らずに終わってしまったジョルノ。それにロメオ。
お前たちの分まで官能に浸るから安心しろ、と心で呼びかける私メでありました。
「ぜんぜん平気なものなのよ」
と女性たちは去勢されたイヌたちのことを語り合ったりしていますが、平気なわけがあるでしょうか。
去勢を女医に依頼した私が言うのもなんですが、そこはかとない哀愁が漂っているのでありました。