2011
08.11

じつに二カ月ぶりのモリオカへの帰省なのでありました。
父が死んでから、かくも長き不在はなかったような気がするのでございます。

庭はみごとに荒れ果て、まさに主のいない廃墟という有様でありました。
「だって、かまってくれないんだもの」
と別の男と交わったことを、私のせいにしたお女性がおりましたが、女はともかくとして、庭は、この手でふたたび整えなくてはなりません。
「他の男と寝ると、いぜんとは密着感が違うね」
と楽しむわけにはいかないのであります。
「違うっていうと、どこがどう違うの?」
「言葉にはできないけど、肌の吸いつきとかが微妙だけど絶対的にちがうようなきがするわけざんす」

庭にたたずみ、しばしエロい思い出をかき集めるのでありました。
エロくなくては庭の作業はできないであります。

ことに花を徹底的に処分するような作庭をとっておりますから、花からエロさを借りることはできません。
石の配置ひとつに女体を連想させなければならず、その妄想にはいるのにはコツが必要とされるのであります。
エロくない庭は不潔なのでございます。

しかし、とにかく夏草をむしるところから取り掛からなければならないようでありました。

つまり今夜の夜遊びを考えているわけでありました。