2011
09.25

コメントさんに触発されまして、ポルチーニ茸のパスタをば料理したのでございました。

ポルチーニとは、ポルチーノの複数形でございましょう。語尾が「A」であれば女性名刺。「O」ならば男性名詞でありますから、ポルチーニは男性名詞ということになるのであります。

やはりキノコは男ということでありますね。

食材やで、乾燥ポルチーニ茸を求めまして、一時間ほどぬるま湯でもどし、ニンニクで炒めましてございます。増量のために「しめじ」をつかいました。
味つけは塩のみ。
最後に生クリームを落としたのみ。

「うわわっ……!」
と、舌の奥から食道にかけて、ざらついた荒めな味覚がひろがったと感じた次の瞬間、甘い毒薬のような深い味が、たてつづけにぶれながら襲いかかってくるではありませんか。
視覚も聴覚も触覚もなにもかも停止して、しかし味覚さえも、あまりの美味さにマヒしてしまうのであります。
魂で味わうイタリアンでございましょう。

この感動は久しぶりであります。
おお、リナーシタ! ルネサンス! めめめめめめめめの美味めザンス。

そういう人はおりませんが、もしも、死んだ美人の恋人がいたとして、彼女が息をふきかえした復活のごとき、感動なのでありました。

明日から何を食って過ごしたらいいのやら。

こんどは、息を吹き返したつかの間の悦びに、気づいたらその名器の美人がふたたび死んでしまったような、虚しさをおぼえるのでございました。

ポルチーニ茸は男性名詞ですから、お女性さまは、おそらく、このパスタに阿部定の気持ちを理解するかもしれませんです。ふところにポルチーニ…いやそれは贅沢。ポルチーノ。