2011
10.23
10.23
本屋にたちよったら、不意に、酢豚を食いたくなりまして、中華屋に入ったのでございます。
時間はちょうど正午でありました。日曜日でありましたから、人通りもあり、茅ヶ崎は老人たちで賑わっておったのでございます。
「これは混んでいて満員かな?」
と案じましたが、お客はひとりもおりません。
「酢豚ランチ」
と注文いたしました。
700円であります。安いのであります。
が、店内はガラーンとしたまま。
ガラスの扉から外の様子がみえまして、たくさんの通行人がおりますのに、誰ひとりとして店に入ってくる人はいないのでありました。
「何があってのであろうか……?」
悪い噂でもない限り、これほどのシカトはないでありましょう。
殺人か、自殺か、暴力か、それとも食中毒なのか。
セシウム混入くらいなら、平気でありますが、何かの祟りだと、ちとオソロしいのであります。
けっきょく、この酢豚ランチを食い終っても、お客は誰一人としてはいってくる様子はないのでありました。
料理の味は30点。が、値段も値段でありますれば。
まるで罪人のように背をかがめ、誰とも目を合わせぬように店をでたのであります。
成人映画館からでてきた中学生のごとく。