12.16
生き方にはいろいろございますです。
私メは、根性とか居直りとかできず、つねに逃げまくりの生き方のようであります。
競馬でいうなら逃げ馬が好きですが、いつもそれで損をしております。
いや、苦手な仕事をしなければならず、朝から机に向かっておりましたが、小うるさいお女性とお茶をているようで、耐えられず、エコ車で小田原に意味もなく逃避したのでありました。
小田原といえば、守屋のパン。
今日は開いていました。
女の乳房のようにずっしりと重い餡パンを5個ほど買うのでありました。
古い古い、昭和のにおいがプンプンするパン屋なのでございます。
そして平日だというのに、イイ女を目にする日でありました。モリオカのように、「ああ、そこをこうすればもっとイイ女になるのに」というファッション。が、それがまた、女を育てるという男の本能のひとつを刺激してやまない、一種の才能を持つお女性を多く見かける日なのでありました。
しかし、ここでひっかけて快楽に耽る時間はないのであります。
気持ちはやはり、苦手ではあっても仕事から逃れることはできませぬ。
むなしく秋波をカチ合わせるのみ。
いかん、いかん、と頭を振りつつ、ずっしりとした餡パンを親指で袋ごしにへこませつつ小田原の街をあるくのでありました。
そして、こういうオバちゃんのお客しかこない安全な中華屋にはいりまして、サンマ―メンと餃子を注文するのでありました。
オスマシのお女性も、最後にはこうなるのであろうかと、オバちゃんを見つめていましたら、オバちゃんににっこりとされまして「その席に座る人は運がいいわ」などと意味不明なことを言われるのでありました。
ヒモノを数枚買いまして、ふたたび机に戻っていたのであります。
そしてどーにかやっと原稿は完成。
私メもそろそろゴーストライターさんを雇う時期が来ているのでありましょうか。
「十傳さんくらいだよ、ぜんぶ自分で書いてるのは」
と言われたことを思い出すのであります。
けれど、こういう逃避行もまた、自分で書いているからこその得難い体験なのであるのであります。