2011
12.26

冬は放屁の季節であります。
太くて長い屁が馬糞のように漏れ出てしまうのでございます。

お女性だって例外ではありますまい。
歩行中に音無しの放屁をしたのを忘れていて、カフェなどであついコートを脱いだとたんに、こもっていたニオイをただよわせる季節なのであります。

もしも、いっしょにいた男が、いつもは吸わない煙草に火をつけたならば、それは優しい行為だと気づかねばなりません。
「煙草の匂いで、屁臭をごまかしてくれたのね」と。

冬の屁というものは、なぜか大切な時にコキたくなるのも事実であります。
よりによってこんなときに…という時に、大腸を裏側から刺激し、耐えるのが苦しいほどではないでしょうか。
それでいてトイレにしゃがんでも出てくれないのであります。
ふたたび彼のとなりに腰かけると、またしても腸内を重くえぐるのであります。

私メも同様であります。
都会の駅の階段をのぼりながら、一段ごとに放屁をしていたのでございます。
都会の喧騒に音もニオイも消されると信じておりました。
ところが、後ろをのぼっていたオヤジが真っ赤な顔で、
「いい加減にしろ!」
と私メをにらんだのでございました。

屁は恋の大敵ですが、しかし、屁をし合う仲というのも、なかなかオツなものであります。

「オノさん、屁していい?」
と尋ねられ、こたえるよりさきに、
ブホホーンと放たれましたから、私も彼女が恥にならぬようにという心遣いから、
ブドブトブドトド!
とたれてやりましたら、
「くっさーい」
だと、ぬかされたものであります。

いちど放屁の関係になりますと、それは真の信頼で結ばれた仲になるのかもしれませぬが、残念なことにエレガント性が失われるのは仕方ないのでありましょう。

やはりお女性は放屁対策を何とかして欲しいのであります。

などと思い出しつつ、結氷の湖畔をめぐりながら、心おきなく放屁をかますのでございました。