2012
02.24

カクテルは、女の飲みモノのように思っていましたから、高校の時からほとんど飲んだことはございません。

モリオカの馴染みの店で、ふと飲んでみようと思ったのは、仕事仲間だった老エディターのことが記憶から転がり出たからであります。

彼はもう五年前のことでありますが、仕事で大成功いたしまして、かなり羽振りが良かったのであります。
が、まだ金持ちが身に馴染んでおらず、安いネルシャツにジーパンといういで立ちでありました。

連れていかれたバーで、
「オレはね、こういうバーでドライマティーニを飲むのが夢だったんだよ」
とたてつづけに二杯のマティーニをあおったのでありました。

アルコールはてきめんに効き、帰りは舗道の植え込みに頭から倒れるほどの泥酔。

そんなことを思い出し、懐かしんで私メもマティーニを四杯。

やはり足にきました。
真ん中の足じゃ、ありませんよ。

タクシーで帰宅したまでは良かったのでありますが、実家の門のところで、歩き方を忘れて、しばらく動けないのでありました。

老ライターはいま、ふたたび貧乏になって、入間に引っ込んでおります。

「入間って人でなしの住む所じゃないの?」
「どーうしてだね?」
「人間の『人』の字が裏返しなのが『入』だから」

それから音信が途絶えたままなのであります。

12時間以上すぎてから、やっと二日酔いから立ち直りました。

真ん中の足も含めて足も健在であります。

ただ、一緒に飲んだ人が、自宅前で転倒し、頭を3針縫ったとか、そういうメールが届いたのでありました。
アーメン。

2012
02.22

とても久しぶりに神保町へ足を踏み入れたのであります。
神楽坂から東西線で二つ目の九段下で降りると、そこは神保町の入り口なのであります。

資料を求めてきたのでありますが、目ぼしいモノはございません。
私メの本が古本として並べられておりました。
奇妙な気持ちでありました。

とぼとぼ歩いて、ここはすずらん通り。
悲しい町名であります。

ガラーン。
活気がないのでありました。

まるでモリオカのように人通りが途絶えているのでありました。
神保町がこんなに殺風景になるのは正月の三が日くらいなもので、あとは本好きな人々がぞろぞろ歩いているはずであります。

神田は私メの庭のようなもの。
30年ほども神田、神保町界隈から離れなかったのであります。

15年ほど前、ちょぅどバブルのあたりから再開発をして、この街はどこか調子を崩したようであります。
太平洋戦争でも、アメリカ軍は神保町だけは焼かなかったのであります。

その街を、欲のために、日本人が壊しつつあるのであります。

わすかにしもた屋が残っているのが、心を安らげますです。

この向かいに花村モーターズがあり、若かりし私メは、その店で、お金をかき集め、オートバイを購入したことがございますです。
カワサキ650でありました。
高級オートバイでございす。
20万円はどーしても工面できず、祖母をだましてお金をもらったのでありました。
その祖母も16年前に死にました。

何を考えていたのでありましょうか。
いまの私メにはサッパリわかりません。

2012
02.21

マドリッドのちょっとした裏通りであります。

べつに立ち小便をしようとしていたわけではありませぬ。

たったいま三人組が日本人のお女性を担ぎあげてお金を奪ったところを目撃して、ビビッているところなのであります。

お女性は二人に両腕を担がれ、残る一人がコートから財布らしきものを抜き取ったのであります。
お女性はそのまま舗道にドスン。

いやはや物騒な街でありました。

富士額の黒ん坊のホセさんに尋ねると、「日本の人、いいカモね」ということでありました。
朝鮮人や中国人より、日本人が狙いやすいらしいのであります。

なんとなく分かりますですね。

では同じサル顔なのに、どこで日本人かと分かるかといいますと…。
これがじつに明瞭なのであります。

①マスクをしている
②ペコペコよくお辞儀ばかりしている。

この二点でバレバレ。

マドリーで、私メは二度ほど強盗の現場を目撃したのであります。
被害者はすべて日本人。

鳩山由紀夫が、「友」の字に改名し、鳩山友紀夫にするとか。
こんなおバカな話にダマされるようだから、日本人は外地で小馬鹿にされるのであります。

女子サッカーの澤選手を、私は正直に「プスである」とこのブログで書きました。反応はありませぬ。
が、外地で「あの猿のような選手は、日本美人なのか?」と不思議そうに尋ねられたモノであります。
最優秀選手だから話題になったのではなく、猿そっくりだから記憶に残っていて、私メに質問したのであります。

私メは正直に答えてやりました。

世界は油断も隙もなく、一歩外に出ると緊張の連続。
それが、だんだんと快感になっていくから不思議でありました。

日本に帰ってきて、またしても油断だらけの男に戻ったようでございますです。