2012
02.20

おスペインに10日ばかり行っていたら、イヌのロメオがひどく淋しがりになっていたのであります。

酒を買い求めにコートをはおっただけで、悲しげに鼻を鳴らすのであります。
そして帰ってくると、千日も会わなかったようにジャレつき、片時も離れまいとてもいうように膝から降りないのてあります。

ためしに、苦手だったはずの煙草の煙を吹きかけても、耐えるのであります。

これがお女性ならば、うへぇっとばかり辟易して冷淡な態度をして距離を置くのでありますが、ロメオは別であります。

「イヌ以下ですか、私の存在は?」
なんて野暮なことをいわれた記憶がはいずりだすのでありますが、
そこは「まあまあ」というわけであります。

イヌとお女性では、あまりに違いすぎるのであります。

イヌはイヌ、お女性はお女性。

だいいちヘンタイではありませぬゆえ、イヌとセックスはできませぬ。

まだロメオの目の色は、いつ置いていかれるのではないかという不信感が刷かれておりますです。

でも、帰国してしばらくたちましたから、このようにくつろぐようにはなっておりますです。

一方のジョルノは変化なし。
私メかいようがいるまいが、食うものさえあればそれでよし、といった塩梅であります。

それはそれで味気なく、
「もう、オノさんとつきあってもメリットないから」
と、とっとと出ていったお女性もいたのであったなぁと、しみじみ思い出すのでありました。

まだ春浅く、散歩すると指がかじかみますが、ガラス越しの春光はポカポカとイヌの背を温めるようであります。

「しばらく、どこにもいかないよ」
と声をかけますと、
「嘘つけ」
とこちらをぎょろり。

ああ、そうであった。
震災の被害者の一周忌でモリオカにいくんだっけ、と思い出ますと、
「ほらな」
というようにグレた姿勢で私メを見上げるのでありました。