2012
02.24
02.24
カクテルは、女の飲みモノのように思っていましたから、高校の時からほとんど飲んだことはございません。
モリオカの馴染みの店で、ふと飲んでみようと思ったのは、仕事仲間だった老エディターのことが記憶から転がり出たからであります。
彼はもう五年前のことでありますが、仕事で大成功いたしまして、かなり羽振りが良かったのであります。
が、まだ金持ちが身に馴染んでおらず、安いネルシャツにジーパンといういで立ちでありました。
連れていかれたバーで、
「オレはね、こういうバーでドライマティーニを飲むのが夢だったんだよ」
とたてつづけに二杯のマティーニをあおったのでありました。
アルコールはてきめんに効き、帰りは舗道の植え込みに頭から倒れるほどの泥酔。
そんなことを思い出し、懐かしんで私メもマティーニを四杯。
やはり足にきました。
真ん中の足じゃ、ありませんよ。
タクシーで帰宅したまでは良かったのでありますが、実家の門のところで、歩き方を忘れて、しばらく動けないのでありました。
老ライターはいま、ふたたび貧乏になって、入間に引っ込んでおります。
「入間って人でなしの住む所じゃないの?」
「どーうしてだね?」
「人間の『人』の字が裏返しなのが『入』だから」
それから音信が途絶えたままなのであります。
12時間以上すぎてから、やっと二日酔いから立ち直りました。
真ん中の足も含めて足も健在であります。
ただ、一緒に飲んだ人が、自宅前で転倒し、頭を3針縫ったとか、そういうメールが届いたのでありました。
アーメン。