04.12
ワンコじゃありませんけど、もう一匹の家族である、亀のカメ子が、冬眠から目覚めたのであります。
目覚めたというより、一階のトイレの奥の段ボールで光を遮断した水槽のなかで半年間、眠り続けていたカメ子を出して、お風呂でお湯に浸して、むりやり起こしたというのが本当です。
しかし、まだ夢の世界から完全には戻っていないようであります。
水槽から衣装ケースに移されても、ボンヤリしているのでありました。
まだ寝ていたいという気持ちはいたいほど分かるのであります。
私メだとて、春はおもいうんず。
とくに四月の憂鬱には悩まされるのであります。
なにもかも面倒で、人と会話するのも億劫になることもしばしば。
その、憂鬱な発作が、突如として心に流れ込むのでありますから、相手をしている方は、さぞ迷惑でありましょう。
カメ子もおなじかもしれませぬ。
しかし、これ以上の冬眠は、餓死につながりますから、まずは目覚めさせ、そのごの食欲の復活を待つわけであります。
誰もいないところに行ってみたいなぁ、と思うのですが、自分をふりかえれば、ほとんど一人で仕事をしているわけですから、これ以上の孤独というものは考えられませんです。
それでも人と離れたい…この場合の人というのは、男と服を着たお女性のことを指すのであります。
庭には、いつか白い花がほころび、春のめざめというよりも、逝く春なのかもしれませんです。
これから秋の彼岸まで、カメ子は餌を食い続けるのでありましょう。
「春になったら、すぐに秋になる」と亡父が言ってましたが、それは東北の話でありまして、関東以西では、夏は永遠に続きそうなほどとぐろを巻いて居座るのであります。
その夏の気配がかおっております。
東京の気温は今日、22.5℃あったとか。