2012
06.17

思春期をむかえると、恋の花がいっせいに咲くように、梅雨の季節にはいったとたんに、そこかしこで紫陽花が花ひらいたのであります。

恋はめんどうでありますが、恋していない時というモノも無味乾燥で、まこと虚しい気分であります。
年を取りますと、疲れる恋は避けたいのであります。

口先の恋が最高であります。

心の深みまで根を下ろす恋は、煩わしくてならないのであります。
気力が弱くなったせいでもありますけれど、深い恋はどれもみな同じく思えるのでございます。

次はこうなって、ああなって、そうなるだろうと予想がつき、実際に、そのいつか来た道を通るのであります。

口先の恋は、ふたりのジャブの連続でありますから、とても楽しいのでございます。
作られた目つき、作られた笑顔、作られた言葉の数々。

真実を告げられないだけ、距離感というか遠慮がありますから、いつも新鮮でいられます。

お女性は、なぜか記念品をプレゼントされたいようでありますね。
「いつも、あなたを感じていたいから」
の言葉をよく耳にいたします。

が、男は…私メ限定かもしれませぬが、長く保存するものをプレゼントするのは苦手であります。
たまに旅先などでみかけたものを贈ることは例外ですけれど、オネダリされてプレゼントするのは不自然に感じるのでございます。

口先だけの恋ならば…まだ恋が結ばれない成長過程の恋ならば、プレゼントも可能でありましょうが、恋が落ち着くと、気持ちが変わってくるのであります。
「釣った魚に餌を与えないつもり?」
というのでもございませぬ。

おデートのときに、食事代などすべてを支払うのが悪いのかもしれませんです。
たまにはお女性に出費を求める方が賢いのではないかと思うのであります。

さんざんにご馳走になっておいて、そのうえプレゼントもか…!

なんてヘソが曲がることもあるのであります。

こんなことを書くと、大いに反発を喰らいそうですが、あるお女性が呟いたひとことがございます。
「恋にも裁量は必要ね、不倫はとくに」
コレでありました。

そのお女性は、最低限度の経済性を有していないと、不倫をしてはいけないと語るのでありました。

男には、まことに嬉しい意見でありました。

恋も生き物であります。紫陽花のように色を変えるのであります。
どのような変化がおきようと、恋を謳歌するには、平等とまではいかなくても経済性は必要であります。

デートに備えて、メイクや着るもの、ピルなどで、男の気づかない出費があったとしても、男の好意に慣れてしまうと、イザというとき、ここ一番のときに、お女性は「裏切られた」と傷つくものでありますです。

「ここは私が払うね」
損したと、そのときはお金を惜しくなるかもしれませぬが、長い目で恋をみつめると、この姿勢は賢いようであります。

男どもが草食系に化しているのは、このへんに原因のひとつがありそうなのでありますです。