06.20
唇とは、妙なところであります。
粘膜が外部に向きだされたところでして、他の動物にはみかけませぬ。
鳥ならクチバシだし、イヌだって、人間のような唇ではございませんです。
不倫中のお女性の唇は曲がっていると言われたものです。それは罪悪感が唇に出やすいからという理由であります。が、現在は、罪悪感などありませんから、この判断は、ずいぶん割り引かねばなりませんですね。
しかし、唇は、自分では曲がっているかどうか、なんとも判断できませぬ。
「まっすぐにしろ」と言われても、調節する神経が働かないのであります。
ためしに、ご自分でやってみれば納得するでありましょう。
「おおっ、唇が曲がってますよ」なんてからかうと、相手の唇はますます曲がるのであります。
さて、男の唇を論じたいと思いますです。
かれこれ、10年以上も前のこと。弁当屋を営んでいる「社長」がおりました。まだ20代でございました。
知り合いの占い師から、「手伝ってちょ」と依頼されて、「社長」に会いましたら、
「占い業界に進出したい。まずは電話占いから」
ということでございます。
当時、私メはイベント占いを手掛けておりまして、数名の占い師の知り合いがあったのであります。
「いいでしょう」
と答えて、近くの料理屋でメシをご馳走になったわけでありますが…。
食いモノを、だらだらと唇からこぼすのでありますよ、その「社長」が。
唇にしまりがないのであります。
…これはダメだな。
と直感いたしました。
男の場合、唇に締りがないのは荒淫かDVか、無能なのであります。
で、二日ばかり経った頃、「占い師を紹介して」とタメ語で連絡がありました。
「ひとり三万円ですよ」
と、防備線をはりました。そんな約束はしていませんでしたが、縁を切りたかったのであります。
案の定、「社長」はキレだしまして、
「こないだの料理代を返せ!」
てなことを電話の向こうでガナリ出したのであります。
しめしめと電話を切って、それで縁もキレたのでありますが、男は食い方で判断してイイのであります。
唇とは、さほど関係ない内容になりましたが、モノをこぼすということは、舌が上あごにピタッちくっつかない構造なのであります。
ということは、舌の根元の筋肉が弱く、咀嚼力も低下している証左であります。
スケペでも精力は弱く、ためにDV傾向になるわけであります。
「社長」がその後、どーなったのかは分かりませぬ。が、結果は見えておりますです。
週刊誌の隅に載っていた広告記事も、三ヶ月後にはおろされたということであります。
真っ赤な唇も感心いたしませぬ。
これは神経質な男だと断定して間違いはありませぬ。
歳をとると下唇が歪んできますが、それは歯が原因しております。40代で唇が歪んでいるのは病弱のサインでございます。元気そうに振舞っても、踏ん張りがききませぬ。
しろくザラッとした感じの唇の男がいいかもです。
むろん、口角は引き締まっているのが最低条件でありますが。