2012
07.24

郷里のモリオカにいるのでありますが、ひとり、なのでございます。
老母を手術のために病院につれましたら、家はいやに広く感じられ、夕べは飲みにいくこともいたしませんでした。

ひとり、ということは、そういうことなのでありましょう。

それで早朝の散歩。
道ばたには、花の首飾りに用いる花が咲いており、夏の鳥が朝をさえずっているばかりでございます。

いつか老母が死ねば、このような生活がまっていて、その予行訓練のような、今回の帰省であったかもしれませぬ。

家の離れにある二階建ての納屋の一階は、昼でも日がささず、天井には梁があり、丸裸のオナゴを荒縄で縛り付けるにはうってつけだと日ごろニヤリと妄想しておりましたが、ひとりだと、そういう妄想も漂白されましてございます。

いやに大きい、牡丹の花ほどもある紫陽花が、だれにも見られることなく咲いているのでありました。

さぁて、これからどーするか。
庭仕事のつづきをすることは分かっているのでありますが、ひとりごとを呟いてみたりするのでした。

モリオカ在住のお客の鑑定もあったなぁと、頭の隅でおもい出してもおります。
夢は枯野をかけめぐる、とは芭蕉の作でありましたが、なんとなくそういう気分なのでございます。
とにかく、周囲も、私メの内部も静かなのでありました。

朝がたに蚊に刺された足の甲がうずくのでございます。

釣り堀に出ました。

そうか、魚釣りもわるくないなぁ。

ありあまるひとりの時間を、いかに過ごそうか。
知り合いに会って、この時間を濁したくはない。

まだ朝であります。
夜になったら、よどみを求めるかもしれませんですけれど。