08.05
片瀬より西に2キロ。
観光客の姿はまばらなのであります。
アメリカ軍の演習のために、その姿をいちじるしく小さくされた烏帽子岩のあたりは、もう田舎の漁村なのであります。
遠くから洋楽が聞こえてきますが、海に音楽はにあいませぬ。
この違いが、冬のゲレンデと異なるところでありましょうか。
真夏にスキーの話題は適切ではありませんですね。
でも、モテない男というものは、夏にスキー、冬にサーフィンの話題を語る特徴がございます。
「4キロのダウンヒルをいっきに滑り降りるのって最高だぜ」
「…いまは夏よ!」
とお女性から相手にされないモノであります。
しかし、今年の夏は、若い子の姿はまばらであります。
ふりかえる顔はオババ組。
が、ちかごろのオババ組は軽んじられませぬ。
キレイなのであります、バックスタイルが。
筋トレや、ランニングのたまものでありましょう。
それに豊胸。焼けた胸元の水着がずれて白い肌がのぞくのはタマりませぬ。そしい歯のホワイトニング。
むしろ若い子よりイイかもしれませぬ。
あくまでも「かも」がつきますけれど。
さんさんと紫外線を浴びたあとは、ラーメンしかありませんです。
これで450円。
細麺のゆで加減が最高であります。
惜しむらくは、やや、しょっぱいのであります。
店主のオヤジに
「カラダを壊しているんじゃないのか?」
などとは聞けません。
大量の汗をかきましたから、多少の塩辛さは、むしろ塩分の補給になってよろしいのでありましょう。
ラーメンのスープは、レンゲを使っては味が半減いたします。
両手で丼をささえて、グビッグビッとじかに飲むのに限りますです。
基本形のラーメンにかえりつくまで、ずいぶんと時間がかかりました。
すごく旨いラーメンは邪道かもしれませんです。
しょっぱいとか、海苔が付いていないとか、ちょっとした欠点があってこそラーメンであります。
たかがラーメンなのでありますから。
たかが人生のように。