08.24
赤染衛門といっても、れっきとしたお女性であります。
彼女のオヤジの赤染時用が、右衛門尉という位についたので、赤染衛門と呼ばれたってわけです。
『やすらはで寝なましものを小夜ふけて
かたぶくまでの月を見しかな』
一般訳は
「あなたがおいでにならないと分かっていたら、ためらわずに寝たものを、今か今かとお待ちしているうちに、夜が更けて傾いて沈もうとしています」
てな感じでしょうか。
まぁ、この歌は一般訳で正解でありましょう。
が、じつは、この歌は、代作なのであります。
赤染衛門の妹が、藤原道隆と熱々で、しかし道隆は浮気モノ。
妹の姿を見て、姉である彼女が代わって歌を作ったというわけであります。
妹おもいの姉、あるいは友達おもいのお女性さん。
これがなかなか油断できない存在でありますです。
恋を叶えてあげたい気持ちが半分、失恋してしまえば気味がイイというおもいも半分。
「ちょっと話があるのさぁ」
と、付き合っているお女性の親友というお方に、呼び止められたことがありますです。
「あんまりじゃないの、彼女、純情だから傷つけないでもらいたいのさぁ、昨日だって喫茶店でずっと待ってたんだからさぁ」
こういわれると気持ちが萎えるモノでありますです。
いや、友達はそういう心理も読みとって語っているのかもしれませぬ。
「リストカットするって言ってんだよ、どうするつもりさぁ」
微かに残っていた恋心も消えるのでありますです。
事実、藤原道隆は、彼女を捨て、高階貴子とむすばれたのであります。
そういえば、ある女子高で、修学旅行に行かなかった子がおります。
「えへへ、彼にヤッてもらうんだ」
彼というのは、彼女の親友の彼でありますです。
そしてバージンと卒業した次第。
お友達とは、こういう側面がございますです。
また、この歌、「かたぶくまでの月を見しかな」にはもう一つ、重大な意味が隠されておりますです。
夜明け頃に西に沈む月は満月。旧暦の15日あたりでありますです。
「月経は、毎月15日前後ですよ」
と道隆に教えているわけでありますです。
いや、妹ではない。
自分自身の月経だと解釈した方がよさそうでございますですね。