10.05
最近、中国や朝鮮を毛嫌いしているお方が増えているせいか、和食屋が大賑わいなのであります。
それはそれとして、隣のオヤジの食い方の粗雑なこと。
画像は、オヤジの食い散らかした残骸であります。
これではいけません。
こんな汚く食い残しては、いつまでたっても貧乏生活から逃れるすべはありませんでしょう。
江戸時代の観相家、水野南北は、食と運を、口が酸っぱくなるほど語っていたようであります。
南北が書きのこしたものはありませんが、弟子たちが口述筆記して、それが後世に語り継がれておるのでありますです。
私メは過去に、マイファーレディをしたことがございますです。
狼少女のようなお女性がおりました。
「彼女と食事をしたら、百年の恋も冷めるからね」
と前置きされて紹介されたのでしたか、事実、彼女の食い方は聞きしに勝るともおとらない、凄まじいモノでございました。
寄せ箸、摘み箸、くし箸などはイイもので、グーで箸を握るのであります。
で、ありますから、茶碗にはご飯粒が百粒以上も残されて「ご馳走さま」なのでありました。
注意いたしましたら、
「お百姓さんが、一生懸命育てたお米を残したらバチが当たるなんて、言わないでよ」
と食ってかかる始末。「百姓だってカネのために米つくってるんだからさ」
おやおや、と思いましたが、ラーメンを食うときなど、麺のすべてを箸に絡ませて口に入れるモノでありますから、つまりヒトタマ丸ごと口に入るために、ほっぺたをふくらまして苦しむ始末。
最後には、グエッとばかりに、丼に戻すのでありました。
また、自宅で食事をするときは、山ほども積まれた洗っていない食器類の流しで、立ったまま貪るのでありました。
百年の恋どころか、一万年恋もたちどころに消滅してしまうでありましょう。
が、なかなかの美人でありました。
目や鼻や口びるや耳は、芸術品。
それぞれの配置が崩れているのが、いささか残念なのでありましたが、そこが魅力といえば魅力。
二年かけて食事のマナーを徹底させたのでございます。
すると、運が向いてきたのであります。
「オノさん、これ!」
と開いて見せた銀行の通帳にはゼロが七つも…。
それまでは二千円あるかどうかだったのであります。
マナーを徹底したあたりから、仕事が順調に回ってきたから不思議であります。
「やったじゃないか」
「オノさんのオカゲ」
なんて言われると、悪い気はいたしません。
彼女はやがて結婚し、いまでは、オホホのセレブな奥さまであります。
食事のマナー。
恋愛から、仕事まで、開運は、この一点にかかっているのかもしれませんです…と感慨に浸るのでありました。