2012
11.22

カメ子は完全に食欲がなくなり、焦ったように動き回っておりました。
冬眠場所を探していたのでございます。

一階のトイレの奥の隅っこに、冬眠用の水槽に水を張り、そこに静かに移したのでした。
段ボールで光を塞ぎ、さらに毛布をかけました。

まだしばらくはゴトゴトしておりますが、やがて春までの眠りにつくことでありましょう。
だからダイニングには、冬場にはカメ子の姿はないのであります。
ロメオやジョルノは、そのことに別に不自然さも覚えず、しかし、先ほどまであったカメ子の水槽代わりにしている押し入れ用の衣装ケースが置かれていた場所を、しきりに嗅いでおりました。

そして、私メも、カメ子の不在を淋しいとも感じないのであります。

自転車で家の周りを走らせたら、いつしか木々の紅葉も薄くなり、冬枯れの景色であります。

ホッキ貝の良いヤツがありましたから、二個買って帰るのでありました。
そしたら新聞屋がたっておりまして
「朝日新聞をとってくれませんか」
断りましたら、
「そうですか…」
と、諦めて引き返していきました。

こういうエピソードは、すぐに忘れますが、夢などに再現されたりするものでしょう。

さようなら、春になったらあいましょう、カメ子。

ちょっと肩の荷が下りた気持ちです。