2013
01.10
01.10
一年でももっとも寒い時期にモリオカに戻ったのであります。
車庫の屋根の雪が昼の日差しでずり下がりましたが、午後の冷え込みでつららが巨根となって地面に届きそうなほどであります。
これでは酒とお女性は必需品でありましょう
お女性とてお酒と男根を所望していることは隠せませぬでありましょう。
シャレた言葉を交わす余裕のないほどの冷え込みでありますから、
「ヤルべじゃ」
と誘われると、
「んだな」と応じることになるのでありましょう。
それはそれとして、今夜は老母と、10日おくれのお年越しであります。
良い肉を買ってきました。
雪の中に出て、秋のうちに埋めていた野菜を掘り出してきたのであります。
ストーブが灯る窓の外は、はやくも夕暮れであります。
ロシヤ民謡が聞きたくなるような、もったいないほどの贅沢な景色なのであります。
雪で漂泊された銀色の街に出ようかと思っているのでありますが、いまはこうして夕食までの時間の流れを見つめていたい気分なのでございます。
「オノさんは真実を見ようとしないんですね」
という或るお女性の言葉がよみがえってきたのであります。
真実ですか。
そんなものがあるのでありましょうか。
嘘とまではいかなくても、人は主観を優先いたしますから、自分の真実は、相手にとっては真実ではないのかもしれませぬ。
庭も雪のなか。
これが真実なのであるのだぞとでも教えるかのように、雪は夏の日の苦労と努力を埋め尽くしているのであります。
ふいに、カラダの内と外を熱い肉で満たしたい衝動にかられるのでした。
欲情とは紙一重で違う、情熱などでは絶対にない、帰巣本能のような甘えの塊みたいな衝動でありました。
まずは肉を焼く準備にとりかかろうかと思うのでございますです。