02.15
ついに見つけたのでありました。
ソース焼きそば五食入り145円!
味も上々。
雨の夜にはピッタリでありました。
ちょうど、こんな冷たい雨の降る夜でありました。
北京飯店というありふれたラーメン屋で、年上のおネェ様に焼きそばをご馳走になったのは。
私メは中学校になったばかりだと記憶しております。
どーして、ご馳走になったのか分かりませんです。
そのおネェ様は、友達のオヤジが経営しているバーの人でありました。
小指を立てて箸を使うのでありました。
「どったの?」
と、当時の流行語で首を傾げ「食べないの?」、自分はヌタヌタと焼きそばを忙しく食うのでありました。
そのあと、家の近くまでNっころと呼ばれる、スバル360だったかの白い車で送ってくれたのであります。
それだけでありますのに、焼きそばをすすっていたら、ふと思い出したのであります。
ソース焼きそばをあれから何皿くったのか数え切れませぬが、そのことを思い出したことはなかったのでございますです。
さきほど、ベルトリッチ監督の「マリーナ」を見たせいでしょうか。
年上の美女に惚れる少年のお話でありましたが、いやいや、そうではないようであります。
もう60才をとうに過ぎてしまっているだろう、そのお女性はいまどーしているのか。
いまでも小指を立ててお箸をもっているのでありましょうか。
まさか、病気で入院していて、いまわのきわで、記憶が逆回転し、そのつまらない情景を思い出し、それが私メの脳に通じたのでは…などと思うとロマンチックであります。
携帯のメールに、
「火曜日に手術が決まりました」
とあります。
乳がんの飲み友達でございます。
恋愛未満の憧憬というものは、けっして悪いモノではございませんです。
銀座アスターなどで食う焼きそばもイイのですが、五食で145円のソース焼きそばこそ必要な逸品でございますのとおなじように。