2013
03.11

高田のお馬場のカフェで、乳がん摘出をした飲み友達と会ったのでありました。
「大変だったんだから」
と、お腹の脂肪の組織を、摘出した部分に移植した話などを聞きながら、ふと見ましたら、右手の人差し指のわきにあるホクロを発見したのでありました。

かれこれ10年近い付き合いでありますが、酒ばかり飲み交わしている仲でしたから指のホクロなどに気づかなかったのであります。
「話たでしょう。ここにホクロがあるのは悪いのかって」
と食い下がられても、飲みながら、誰が本気で無料鑑定などするわけがありましょうか。

彼女と1年前に、ドライマティーニの飲み勝負をしたことがございます。
何杯飲んだのか。
私メは実家の門の前で、歩き方を忘れるほど酩酊し、しばし足踏みだけをしていた記憶がございます。
が、彼女は帰宅するなり玄関で転倒し、後頭部を12針も縫うという大けが。

よほど飲み勝負に負けたことが悔しかったのでありましょう。
以後、彼女は、友達と飲むことがあると、きまってドライマティーニを無理やり飲ませ、相手がトイレで悶絶することを、無上の喜びとしているとか。

そうなのでありますです。
人差し指の基節と呼ばれる、第3指節にホクロのあるお方は、非常なまでの神経質。愚かしいことで悩んだり、クヨクヨしがちなのでございます。同じ悩みを持つ相手を知り合いになるとホッとするようでありますです。
通常は、そういう人には見えないのでありますが、突如として感情の嵐に見舞われるのが、指の側面に出ているホクロの持ち主の特徴なのでありますです。
ドライマティーニを友達に勧めて悪酔いをさせることも、分からぬでもりませぬ。

こりたびの乳がんも、あるいは心配症が引き金となったのではあるまいか…などとフェイクのオッパイがあるだろう場所へと、視線を戻したのでございますです。

酒がないので、ラーメンの汁をすするがのごとく珈琲をのみほし、わずか30分ほどで、
「オレは銀行によってくから」
「私は新宿でお土産を買う」
と、別れたのでありました。