03.22
めっきり喫煙ルームも減りまして、東京駅でも大手街へつづく、この場所くらいなものでありましょう。
私メは、ここでは喫煙いたしませぬ。
喫煙ルームは空気が悪くてかないませぬ。
やはり、キレイな空気で、風のない場所でくゆらすのが最高なのであります。
吸えればイイというものではありませぬ。
「あんや、タバコを飲みすぎだよん」
などと老母から言われることがありました。
タバコを飲むという表現は恐ろしいモノがございます。
しかし禁煙も平気であります。
一週間くらいなら吸わなくても平気。
禁煙明けに、肺細胞がメリメリと壊れるほど吸いこむ快楽は、この世の快楽のなかでも極上の部類に入りますです。
で、この喫煙ルームでありますが、ここがなかなかの出逢いのスポットらしいのであります。
罪人同士が、なんとなく後ろめたい気持ちを共有するからでありましょう。
かちあう視線にも、どこか暖かい同士意識が流れるのでありましょう。
「出逢いはどこでした?」
と結婚披露宴で聞かれた時、
「駅の喫煙ルームで…」
とは申せぬかもしれませぬ。
パチンコ屋も、同じ意味で出逢いの場と言えなくもありますまい。
が、みな目を血の色に染めつつ勝負をしておりますから、キッカケがつかめませんでしょう。
考えてみると、出逢いというものは、なかなか難しいものでありますですね。
同じ学校、職場、趣味、あるいは紹介でありましょう。
旅先で出逢うなどはドラマの中だけのことかもしれませぬ。
私メは一度だけ東北本線のなかで、美味しい思いを体験したことはございますが、それだけでありますです。
共犯意識を、どこで接続させるか、ここが決め手でありましょう。
居酒屋のトイレの前で、「これはイケるぞ」と目が合い、微笑みを交わすことはあっても、それぞれの仲間が邪魔をしやがって、つかの間の期待に終ってしまうものであります。
いやいや、いま「出逢いのスポット」の原稿を作成しておりまして、困って腕を組んでいるわけでありますです。