2013
04.24

戦友といえるのは、昔の占いの仲間でございます。

パフォーマンス占いをしていた頃ですから、20年以上もたちますです。
銀座ジプシーという覆面の爺さん占い師のグループに、奇妙な縁でからまり、そこの人間関係に苦悩した時期でありました。

まだ私メは若く、周囲のオバさん占い師は40代でありまして、彼女たちは濁情などとおの昔に卒業しているはずだという誤解が、私メの判断をおかしくさせていたのてありますです。

いま思えば、40代こそ、濁情の黄金期。
銀座ジプシーをめぐる愛欲の相姦図は、それはそれは華やかなモノでありました。

大阪のバラモンさんと二人して、その濁々しい世界で、だれを信用してイイものかと、愚かしいことで気が合っていたのでした。

それから20数年後、つまり夕べのザッパラスの占い師たちを集めたパーティーで再会したのでございますです。
「バラモン…?」
「あいやぁ、ムッシュー、ムッシューじゃ、あらへんか!」

ということで、一瞬で時は戻り、あれからのことを怒涛の如く語り合ったのでございますです。

あれほどの入り乱れた相姦図の主人公たちの、だれの姿もございませぬ。
死んだり没落したり消息不明になったりと、
「生きてて良かった、よかった」
とばかりに手を取り合ったのでありますです。
「わて、もうすぐ60才でんがな」

「あの子、憶えてはります?」
散会近くに、バラモンさんがニヤリといたしました。
「あのころ、19才だった、あの子、もう40になりましたわいね」
「ああ…!」
バラモンさんのお弟子さんで、初々しかった子を思い出しました。
「まだ、たまにムッシューのこと言ってはりまっせ。なんとかしよし」

東海道線で帰宅途中、「ほな、また逢いましょな」と振り向きながらホームの人混みに消えた彼女の姿を思い出していたのでありますです。
思い出していたのはバラモンさんのことでないことを、蛇足ながら申し添えますです。