2013
05.26
05.26
去年は、こんな木の実があったべかな、と思いだそうといたしましたが、思い出せません。
食べようかとも思いましたが、野鳥も食わないのだから、よほど不味いのでありましょう。
たしか、この木は白い小さな花を咲かせていたのに、赤い実をつけていることにヘンな気がいたしました。
おんなじ土から、色々に色の花や実を結ぶのですが、その器用さが不思議であります。
「あの人ってイイ人よね」
というお方もいれば、
「とんでもない男だから気をつけてね」
と否定的に見るお方もおりますです。
どちらを信じてイイのか多少混乱いたしますが、それと似ております。
ふりむけば雨の季節を待つ花がほころびはじめているのでありました。
「ああ、はやく18才になりてなぁ」
「んだよな、自由になりてよな」
と友人と語らったことが、つい昨日のようであります。
花も人も、次の季節を待つモノのようであります。
次の季節が到来しても、期待したことなど起ころうはずがなくてもであります。
紫陽花はいろいろな色に変わると言いますが、そうでもありません。赤っぽい紫陽花は赤っぽいままで、青っぽい紫陽花は青っぽいまま梅雨の雨を受けるようでありますです。
そして赤っぽい紫陽花が咲くと、「青っぽい花が良かった」と思い、青っぽい紫陽花を眺めながら「赤ぽい花が良かったのに」と残念に思ってしまうのであります。
そうして、庭の片隅にしゃがんだら、
「こんな色の水着だったなぁ」
と、突拍子もなく思いだしたことがありました。
この雑花の色のビキニを籐のカゴに入れた女の子のことが瞼によみがえったのでありました。
山田線に揺られて海まで行った時のことであります。
梅雨の前のちいさな庭は過去と次の季節の物語が錯綜しているようにも感じられるのでありました。