2013
07.19

画像だけで残念でありますが、今年初めての蝉しぐれでありました。
庭園は、静まり返り、ただ蝉だけが夏を焦がしているのでございますです。

自転車のかごに、氷をたくさんにつめたはずのペットボトルは、氷がとけて、私メの口から喉をつたい鎖骨へとしたたるのであります。シャツの襟が濡れてひゃっこくなりました。

幼い頃に、母と墓参りをした夏の日を思い出すのでありました。
やはり、木漏れ日が道をだんだら模様にそめ、その影をひろうように歩いたのでありました。
トラックが土ぼこりをまきあげて追い抜き、たしか川沿いの道だったのかもしれません。
「おじさん喜ぶよ、よぐ来た、よぐ来たって」
「死んだのに分がるえんか?」
「心は生きてで見守ってけでるんだよん」
「…もはみうみチャンたぢ着いてるかな、お墓に」
そんな会話をしながら、やはり蝉しぐれがわれわれを包んでいたような気がいたしますです。

最近は、モリオカでは蝉の鳴き声がほとんど聞かれず、むしろ茅ケ崎や藤沢や鎌倉の方が、自然は残されているのでございます。

PCだのスマホだのという、急速に時代に君臨している主から逃れて、むかしながらの道を歩くのは、心が安らぐものでありますです。

そうして、魚屋をのぞき、太刀魚のイイ奴がありましたから買い求め、あとは、心をときめかせるようなお女性に遭遇しないように願いながら帰るのでありました。