2013
09.12

美人より、オプスちゃんの方が忘れられなくなるように、藤沢の名店ビルの地下にあるラーメン屋は、はげしく不味くて、それが人気なのであります。

が、人々の意見では、
「けっこう美味しいわよ」
とのこと。

自分の味覚がおかしいのかもしれぬと、いままで何回も立ち寄ったのでございます。
本日も、眼鏡を作る前に、自分の味覚を確認するために店内に。
「……」
なのであります。
が、いつもよりは不味くはございませぬ。
いつもはモヤシが泥臭く、ラーメンの味を台無しにしておりますが、今回は、舌がまくれるほどの塩辛さのために、泥臭さは感じられず、ごく普通の仕上がりでありました。

が、奇妙でありました。
満員で入り切きれず、外の通路で待たされるのが常であるのに、今日はガラガラ。
昭和のレトロな店内は、こころもち寂しげなのであります。

不味くなくなったからかもしれませぬ。
つまり魅力が失せて、ために人々から見捨てられたかもしれませぬ。

美容整形をしのにかかわらず、男運を失うお女性は多いのでありますが、それと同じかもしれませぬ。

私メとしても、
「もう、ここにきて味覚を確かめる必要はなくなった」
と卒業宣言をしてしまうのでございました。

美味い店より、不味い店の方が忘れられないのでありますです。
どこか、笑えるほどに不味すぎる店を探さねばなりませぬ。
「なぜだ、なぜも、こうに不味いのだ」
という充実感と、料金を支払う恥ずかしさを体験するのは、そうザラにあることではございませんです。